プロデューサー Tricky (トリッキー) が、ニューアルバム『Different When It’s Silent』を 6/17 リリース!ポーランドのアーティスト Marta Złakowska をフィーチャーした先行シングル「Out of Place」のミュージックビデオを公開しました。本作『Different When It’s Silent』は、6年ぶりとなる Tricky 名義のアルバムであり、それには十分な理由がある。
2020年の『Fall to Pieces』以降も、彼は活動を止めていたわけではない。ミュージシャンは、セルフディレクションによる映画作品を伴ったLonely Guest名義のアルバムを発表し、そこには Oh Land、Marta Złakowska、Joe Talbot、Murkage Dave、Paul Smith、そして晩年の録音参加となった Lee Scratch Perry らが参加していた。3年後には、Adrian Thaws とプロデューサー Mike Theis によるユニット Theis Thaws 名義で『Fifteen Days』を発表。さらに昨年には Marta と共作アルバム『Out The Way』もリリースしている。これらはすべて、2013年に彼自身が設立したレーベル False Idols から発表された。つまり、Tricky は決して暇だったわけではない。
しかし、『Different When It’s Silent』が6年ぶりになった背景には、もう一つ辛い理由がある。2019年、彼の娘が突然亡くなったのだ。
正直に言うと、娘が亡くなってからは仕事をしたかった。何かしていたかった。でも取材やカメラに映ること、そういうものすべてが変わってしまった。もともとポップスターではなかったけれど、より一層、表に出たくなくなった。
と彼は語る。翌年に発表した『Fall to Pieces』についても、
あの時の自分は本当に壊れていた。あれは自分の中から吐き出さなければならなかった作品だった。
と振り返る。その後は、自分名義の作品よりも Marta のアルバムやレーベル運営に意識が向いていたという。そして2025年、新マネージャーの Alan McGee が、フランスの新居やブリストルのスタジオで制作していた新曲群を聴いた。当初 Tricky 自身は別のサイドプロジェクトのつもりだったが、McGee は
これは Tricky のアルバムだ。『Maxinquaye』以来最高だ。
と説得し、本作は正式に Tricky 名義で世に出ることになった。その評価は誇張ではなかった。『Different When It’s Silent』は、1995年の革新的デビュー作 Maxinquaye 以来最高傑作と言ってよい内容である。引き締まり、鋭く、集中力に満ち、リアルで、生々しく、豊潤で、メロディアスで、憂いを帯び、反抗的で、多層的。悲しみと歓びを同時に抱えた、Tricky の音楽性が最も自信に満ちた形で響いている。
アルバム冒頭曲「Still See Me There」は “make me want to die” という一節で始まる。これは1996年作『Pre-Millennium Tension』収録曲 “Makes Me Wanna Die” を意識した引用だという。
もちろん意図的だよ。しかも今回は男性ボーカルが歌っている。そこが意味を変えるんだ。
その男性ボーカルは、若きブリストル出身シンガー Mitch Sanders。Tricky は彼を「甥っ子みたいな存在」と呼び、同じ地域コミュニティの出身であることが作品を自然なものにしたと話す。アルバムには他にも、Red Run Rambo、オペラ歌手、弦楽器奏者、Forgotton Pharaohs の Christian Pattemore など、多彩な人材が参加している。Tricky は昔から、名声の有無ではなく、自分の周囲にいる面白い人々を作品に引き入れてきた。「それが良い空気を作る」と語る。
だが本作全体を貫くのは、喪失と痛みの感情だ。激しいロック曲「I’m Yours」には悲しみと怒りが渦巻いている。
感情的な喪失だけでなく、精神的にも壊れた。何も同じようには見えず、味わえず、聞こえなかった。
と彼は明かす。ラスト曲「Out of Place」では Marta と共に歌い、「娘のために歌っている」と静かに語る。娘への思いを抱えつつも、ここで一区切りをつけ、新しい人生へ進みたいという決意がにじむ。
感情的には、もう一度人生を始める準備ができた。ツアーに出たいし、録音もしたい。ずっと麻痺していたけれど、また動き始めている。自分だけのサウンドを持っていれば流行遅れにはならない。このアルバムがそれを証明している。誰にも似ていない音なんだ。
と語る。それでも最後に彼は笑いながらこう締めくくる。
音楽を作って生きていけることに感謝している。スタジオに入るのが本当に好きなんだ。電話にも出なくていいし、あれこそ本当の自由だよ。













