シカゴ出身のポストハードコア・バンド Russian Circles、4年ぶりのニューアルバム『Nine』を Sargent House から 8/28 リリース!セカンドシングル「Eluvial」のミュージックビデオを公開しました。シカゴで結成されたインストゥルメンタル・トリオ、Russian Circles は、活動20周年を迎えても特別な記念企画を行うことなく、2024年を世界各地でのツアーに費やした。ヒット曲や「代表作」と呼べる一枚に頼るのではなく、長年にわたる安定したクオリティと地道な活動によって、世界有数のヘヴィ・インストゥルメンタル・ロック・バンドへと成長してきた。
先行シングル「Empath」のMV公開!
現在、メンバーのマイク・サリヴァン、デイヴ・ターンクランツ、ブライアン・クックは、シカゴ、ロサンゼルス、シアトル沖の島と離れた場所で暮らしている。彼らの音楽には、アメリカ中西部のオルタナティヴ・ロック、英国プログレ、ドイツのクラウトロック、メタルやハードコアなど幅広い影響があるが、長年の活動を通じて Russian Circles 独自のサウンドへと発展した。メンバーによれば、彼らの音楽制作は、個人としてもバンドとしても年齢を重ねていくことを受け入れ、向き合い、振り返るための共同作業でもある。生活によってメンバー間の物理的な距離は広がったが、バンドは今も彼らの中心にあり、創作活動は時間の流れを記録すると同時に、未来を見る理由にもなっている。
最新アルバム『Nine』では、前作『Blood Year』『Gnosis』に続いて、Converge や Mastodon を手がけたカート・バルーをエンジニアに迎えた。基礎録音はシカゴの Electrical Audio で行われ、仕上げはマサチューセッツ州にあるバルーの GodCity Studio で行われた。 Electrical Audio はデビュー作『Enter』でも使用したスタジオであり、バンド初期とのつながりも感じさせる。『Nine』は、Russian Circles が得意としてきた重厚さ、緻密さ、ドラマ性をさらに洗練しながら、音楽性の境界を押し広げた作品である。
オープニング曲「Borehole」は、バンドとしては比較的伝統的なロック構成を持つ楽曲だが、希望を感じさせながら、最終的には暗く荒涼とした場所へと戻っていく。題材となっているのは、ロシアに放棄されたコラ半島超深度掘削坑である。続く「Empath」は、Godfleshを思わせる重いベース、スラッシュメタル、ブラックメタル、Dビート、ハードコアのブレイクダウン、ウォーメタル的なリフを、5分足らずに凝縮した攻撃的な楽曲となっている。アルバム前半の中心曲「Eluvial」は、Brian Eno と The Edge を思わせるディレイ・ギターを軸に、ラテン音楽風のリズム、歪んだベース、断続的な電子音が絡み合う。静かに始まり、徐々に巨大なクライマックスへと向かう Russian Circles らしい長尺曲である。
後半では、シンセ、ダブ風のベース、複雑なギター、変則的なリズムを取り入れた「E2」や、Steve Reich を思わせるアルペジオと力強いドラムによって、夜の大都市を高速道路で走るような感覚を生み出す「Meridian」が収録されている。終盤の「Arletta」と「Seventh Seal」では、静けさと激しさが対比される。ナイロン弦ギターによる美しいソロ曲から、アルバム中でも特にストレートで強烈なメタル曲へと移行する構成は、初期 Metallica がクラシカルなギターと重量級の楽曲を組み合わせた手法を思わせる。
アルバムのアートワークには、Tony Tasset による彫刻作品「Snowpile for Chicago」の写真が使われている。これはシカゴの冬に街角へ積み上がる、汚れた雪の山を精巧に再現した作品で、Russian Circles が結成された2004年からシカゴ公共図書館に展示されている。冷たく、過酷で、美しいとは言い難い現実を、人の手によって細密に再現することで、そこに強烈な美しさが生まれる。この彫刻は、厳しい現実を重厚かつ美しく音楽へ変換する Russian Circles の姿勢を象徴している。
『Nine』には、現代における芸術の価値低下、絶え間なくコンテンツを求める文化、AIの台頭、音楽家が抱える無力感といった問題意識も込められている。しかし、歌詞を持たない彼らは、それを声明文やSNSで直接語るのではなく、音楽とアートワークを通じて聴き手の意識に残そうとしている。Russian Circles にとって、大幅な再発明は必要ない。彼らはこれまでも、幅広い感情、音色、スタイルを作品ごとに取り入れてきた。初期作品が未知の土地を遊ぶように探索していたとすれば、『Nine』は、その地形を熟知したバンドが、自分たちの領域をより強固なものにした作品だと言える。













