元TOYのフロントマン Tom Dougall(トム・ドゥーガル)率いるベルリンを拠点とする新バンド、Luft(ルフト)がデビューアルバム『Hellingly』を Tough Love から来年 2/5 リリース!ニューシングル「Cat’s Cradle」のミュージックビデオを公開しました。バンドは Dougall に加え、Ani Mijatović(キーボード)、Sam Davies(ギター)、Rob Henderson(ベース)、Aaron Singh(ドラム)の5人で構成されています。
先行シングル「Something On My Mind」を公開!
かつて所属していた TOY が事実上の無期限活動休止に入った後、Dougall がロンドンからベルリンへ移住したことをきっかけに結成された。この環境の変化は、『Hellingly』を構成する楽曲を生み出す重要なきっかけとなった。音楽や芸術、過剰さと忍耐、そして今では失われてしまった世界の姿について、Dougall がここ数年、胸の内で静かに向き合ってきたさまざまな感情が、新たな土地で解き放たれたのだ。
本作は、ロンドンとベルリン、両方の都市を映し出したアルバムでもある。まず描かれるのは、ジェントリフィケーション(都市の高級化)や深刻な生活費の高騰によって身動きが取れなくなり、変貌していく都市生活の姿。そして、新しい街がもたらす新鮮なエネルギーの中に見出した希望へと物語は移っていく。
セカンドシングル「Punch and Judy Man」を公開!
同時に、本作は夜の空気をまとったアルバムでもある。物悲しくも洗練され、ロマンティックでノスタルジック。そこには、古きイングランドの奇妙な習慣や儀式(おそらく今では失われてしまった世界の名残)と、そうした古い価値観に縛られない快楽主義的なベルリンの異国情緒あふれる魅力が共存している。ただし、ベルリンにもまた、この街ならではのしがらみが存在している。
アルバムタイトルの『Hellingly』は、Dougall が育ったイングランド南東部イースト・サセックスの近くに、かつて存在していた精神科病院に由来する。その病院は、現実のすぐ隣に潜む不穏なもう一つの世界を象徴するような存在だった。2010年、新たな住宅開発のために取り壊されたものの、その幻影はいまなお記憶の中に残り続けている。こうしたイメージは、全10曲を貫くテーマを象徴するメタファーとして、アルバムに深く結びついている。
プロデュースを手がけたのは、The Auteurs や Black Box Recorder で知られる Luke Haines(ルーク・ヘインズ)。イングランドの姿を独自の視点で描こうとする Luft にとって、Haines はまさに理想的なパートナーだった。彼自身も、これまで同様のテーマを探求する楽曲を数多く作り、歌ってきた人物であり、バンドが好むポスト・ニューウェイヴ的な躍動感や、辛辣で洗練された表現とも深く通じ合うキャリアを持っている。
収録曲はいずれも鋭さとメロディーの美しさを兼ね備え、皮肉が効いていながらも誠実さを感じさせる。英国の労働者階級の日常や社会の現実を描く「キッチンシンク・リアリズム」の豊かな伝統を受け継ぎながら、すぐにそれと分かる親しみやすさと、Luft ならではの独自性を併せ持っている。Dougall がメインソングライターではあるものの、Luft は紛れもなくバンド全体で作り上げる音楽だ。
Mijatović の幽玄なボーカルと優雅なキーボード、Davies の幻覚的なギターフレーズ、そして Henderson と Singh による繊細かつ緊密に絡み合うリズムセクションが、そのサウンドを完成させている。耳の肥えたリスナーなら、The Kinks の日常を鋭く観察するソングライティング、クラウトロックのインダストリアルな響きを持つギターリフ、さらには Lou Reed や Marc Bolan に通じるアウトサイダー的な感性など、さまざまな影響を感じ取るかもしれない。
しかし、これらはあくまでも、バンドが独自の音楽世界へとたどり着くまでの道しるべにすぎない。『Hellingly』は、メンバーたちが奇妙な世界を旅してきた道のりを描く、彼ら自身の地図なのだ。言ってみれば、これは異郷からの視点で語られるイングランドの物語。しかし、その故郷を完全に過去のものとして置き去りにするには、彼らはまだ十分に遠くまで来ていないのかもしれない。バンドは11月に Graham Coxon とのツアーを予定している。













