オーストラリアのファンクポップ・バンド Parcels、NPR Music の人気企画 Tiny Desk Concert に出演したパフォーマンス映像が公開!Parcels は “豊かさ” を恐れない。オーストラリアの5人組が奏でる楽曲には、多数のギター、拮抗するピアノとシンセ、しなやかなベースライン、脈打つドラム、そして4人(そう、4人)のボーカルがしばしば折り重なる。けれど Tiny Desk の幕開けで彼らが繰り出す切り札は、意外にも幽玄な素朴さだ。やわらかな鍵盤とギターだけを背にした剥き出しのハーモニーが、キャッチーな「Leaveyourlove」の一節を、厳かな献身の誓いへと変えてしまう。
スタジオでは艶のあるエレクトロ・ポップを、ライブでは熱量あふれる演奏で “超越的なダンス・パーティ” —観客が6人目のメンバーとなる、喜びと身体の儀式—へと昇華してしまうバンドにしては、驚くほど削ぎ落とした選択だ。同時に、それはバンドの原点への回帰でもある。Parcels は、海辺の楽園バイロンベイで一緒にジャムをしていた高校時代の友人たちから始まった。卒業後はベルリンへ移り、初期は街頭でのバスキングに明け暮れ、ポップソングをブルーグラス風にカバーしていた。
Tiny Desk では、等間隔に並び、いたずらっぽくも絶え間ない音の対話を続ける彼らの「平等主義」が前面に出る。リードシンガーはいない。フロントマンもいない。楽器を手にした“ボーイバンド”として、Grateful Dead のサイケデリックな遊び場に通じる流動性で会話し、Giorgio Moroder の催眠的エレクトロニカへと踊り出す。日差しのようなメロディが溶け合い、ソウルフルな歌声の奔流が、初期ディスコグラフィの時代から最新作『LOVED』の磁力のような至福へと聴き手を導く。アルバムとこのパフォーマンスの双方からは、10年にわたり親友たちと共に芸術を作り続けてきた魔法が放たれている。