NYブルックリンのバンド Ava Luna、原点回帰となるセルフタイトルのニューアルバム『Ava Luna』を 10/3 リリース!先行シングル「Frame of Us」のミュージックビデオを公開しました。Ava Luna のセルフタイトル・アルバムは、内省的かつ地に足のついた作品であり、彼らにとって重要な進化を示すコレクションとなっています。現在のメンバーは、Carlos Hernandez、Julian Fader、Ethan Bassford、Felicia Douglass の4人組。2019年に Kye(旧Becca Kauffman)が脱退した後、彼らはサウンドを核まで削ぎ落とし、ドラム、ベース、そして Carlos と Felicia のツインボーカルという基本構成に焦点を当てています。
先行シングル「Frame of Us」のMV公開!
本作は、NYという都市での共通の体験や文化的ルーツに深く根ざした、“地に足のついた”アルバム。前作『Moon 2』のような広がりのある “宇宙的” な感覚から一転し、今回は日常の些細な瞬間や、仕事や生活に伴う疲れや苛立ち、そしてコミュニティや選んだ家族と共に生きる喜びや力にフォーカスしています。たとえば、「Lasting Impression」では職場でのうんざり感を描き、「Math Money Job」は学校のチャントのようなノリで再会の楽しさをユーモラスに表現。
このアルバムの中核をなすのは、Julian Fader のドラムと Ethan Bassford のベースが織りなすリズムのインタープレイであり、“地面すれすれで歩道と一体化するような感覚” を生み出しています。このリズム隊の徹底した強化は制作プロセスの鍵であり、最小限の構成でも曲が成立することを前提にアレンジが進められました。Julian は Soul Coughing の粗削りなサンプリングスタイルに影響を受けたと語っており、それは「Frame of Us」などで聴くことができます。
ボーカル面では、Carlos と Felicia の声が伝統的な “リードとバック” の役割を超えて、時に一体化したかのように溶け合い、歌に霊的な深みをもたらしています。たとえば「Archive」では、アーカイブ作業のように緻密で構造的なボーカルが織り交ざり、シンクロとズレを繰り返します。
ミニマルな構成でありながら、プロダクションは決して素っ気なくはありません。Gil Scott-Heron や King Tubby との仕事でも知られる伝説のパーカッショニスト、Larry McDonald がコンガやパーカッションで参加。控えめなストリングス、ほのかに漂うピアノ、Carlosのギターノイズ、そして彼の両親が所有していたマニアックなレコードからのサンプルが随所に散りばめられています。
制作アプローチの進化は、緻密な完成度と同時に偶然の美しさも捉えることを可能にしています。パンデミック時代の混乱を描いた「Social Diving」では、Julian が「自分なりの Digable Planets 風」と語るビートが光り、「My Walk」はブルックリンの移民コミュニティに捧げた楽曲で、Flatbush の Carlos の家から Sunset Park の Feliciaの 家までの道中、さまざまな言語の断片が耳に届くように設計されています。
最終的にこのアルバムは、20年近くにわたる共同作業の集大成であり、その感性をもっとも純粋な形で提示したものです。ニューヨークという都市を描いた親密かつ誇張されたポートレートであり、ギザギザしたポストパンクやファンク、ダンスビートが、広がりのあるストリングスや静謐なミニマリズムに溶け込んでいきます。「Your Man」では有害な言動を厳しく指摘し、「Fancy」では困難な状況でも尊厳を保つ姿勢を讃えています。この作品は、都市もバンドも変化していく中で、Ava Luna がいかに切実で新たな場所へリスナーを導き続けているかを証明する一枚です。