モンゴル出身ミュンヘンを拠点に活動する歌手 Enji、ニューアルバム『Sonor』をリリース!

2025.05.03

モンゴル出身ミュンヘンを拠点に活動する歌手 Enji、ニューアルバム『Sonor』をリリース!

モンゴル出身現在はミュンヘンを拠点に活動する歌手 Enji がニューアルバム『Sonor』を 5/2 リリース!夕暮れ時のほんの一瞬、空が鮮やかな琥珀色に染まる瞬間があります。昼と夜の狭間にある劇的な色彩のきらめき──まさにその儚くも鮮やかな世界の中で、モンゴル生まれ・ミュンヘン拠点の Enji は、新作アルバム『Sonor』を作り上げました。

先行シングル「Ulbar」のMV公開!

「Enji の帰還はまるで魔法のよう。夢見るような声が、繊細なピアノと重厚なダブルベースの上をさまよう。」- The Guardian

『Sonor』は、生命力と楽観に満ちた作品です。まるで夕焼けのように、2つの世界の間に存在することの美しさを見出すアーティストからの贈り物です。モンゴルとドイツという文化、伝統と革新、郷愁と未来への高揚──その間を揺れ動きながら、Enji は個人的な成長、内省、そして変化の持つほろ苦い感情を音楽に込めています。

Enji の人生は、多様な文化の糸で織りなされたタペストリーのようです。モンゴル・ウランバートルに生まれ、幼い頃からモンゴル民謡に親しみ、「ウルティン・ドー(長い歌)」と呼ばれる伝統的な歌唱法──伸ばした音節と自由な旋律が特徴──に深く魅了されました。2014年、Enji はウランバートルのゲーテ・インスティトゥートのプログラムに参加し、ドイツのベーシスト Martin Zenker の指導のもと、ジャズの世界に触れます。

収録曲「Eejiinhee Hairaar」のビジュアライザーを公開!

ジャズの即興性と情感の深さに惹かれた彼女は、ミュンヘン音楽・演劇大学でジャズボーカルの修士課程に進学。こうして、彼女の “2つの文化のあいだ” での人生が始まりました。『Sonor』は、Enji 自身の内面の変化と “文化の狭間に生きる” ことへの複雑な感情を映し出す作品です。モンゴルのルーツから離れたことで、自分のアイデンティティがどう形作られたか、そして故郷へ戻ることでそれらの変化がより鮮明に感じられる──そんな体験がアルバムのテーマに反映されています。

『Sonor』は、Enji の音楽的な進化も示しています。全曲モンゴル語で歌われ(例外はスタンダード曲「Old Folks」のみ)、世界的に著名なジャズ・ミュージシャンたちと共演しつつも、メロディと物語性に重きを置いた音楽で、より広いリスナー層に届けられる作品となっています。スタイルの変化にとどまらず、アーティストとしての表現がより深く、普遍的なものへと昇華しています。

収録曲「Ergelt」のMV公開!

アルバムはカラフルで楽観的でありながら、ほろ苦い郷愁も含んでいます。その二面性は「Ulbar」という曲に象徴されています。「Ulbar」はモンゴル語で“夕焼け時の空の色”を意味します。美しく鮮やかでありながら、昼の終わりと夜の始まりを告げる色──まさに Enji の音楽が描く、変化の喜びと寂しさが同居する瞬間です。

「Eejiinhee Hairaar(お母さんの愛とともに)」というモンゴルの伝統曲では、父が自転車を直しながら口ずさんでいたという、何気ないが温かな記憶が描かれます。音楽と日常が交わるその瞬間──世代を超えて受け継がれるメロディは、『Sonor』というアルバムの精神そのものです。Enji は単に伝統を再現しているのではなく、「家」という感覚を抽出し、小さな喜びが距離を経てから意味を持つことを示しているのです。

「Much」のような曲では、過ぎ去る時間の切なさとともに、今を味わうことの大切さが優しく歌われます。「Ergelt」では、ノスタルジアと変わりゆく感覚がテーマとなり、歌詞ではこう語られます:

幸せに満ちたまなざしが、私を悲しませる
悲しみを語ろうとしても、言葉が見つからない
知らないようで、どこか懐かしい

『Sonor』は、Enjiの共演者たちの貢献によってさらに彩られています。オーストリアのピアニスト Elias Stemeseder(ジョン・ゾーンやクリスチャン・リリンガーとの共演で知られる)、ドイツのダブルベーシスト Robert Landfermann、スイスのドラマー Julian Sartorius、そして長年の協力者であるジャズギタリスト Paul Brändle ──いずれも現代ジャズの第一線で活躍する実力派ばかりです。

Enji の前作『Ulaan』(2023年)は、The Guardian から「伝統的なモンゴル音楽に優雅で力強いひねりを加えた」と評され、The Washington Post も「自由で創造的、そしてしっかりと地に足のついた音楽」と賞賛。彼女は現代ジャズの中で最も注目すべき声のひとつとして、国際的に評価されています。

『Sonor』で Enji は、文化を越え、変化を受け入れ、私たちの人生を形づくる“移りゆく瞬間”の中に美しさを見出す旅へ、リスナーを誘います。夕焼けのように、変化の時は美しく、そして切ない──モンゴルとドイツ、伝統と革新の狭間で生きる彼女の音楽は、多層的なアイデンティティを抱きしめることで生まれる芸術の豊かさを証明しています。

『Sonor』ストリーミング

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