エストニアの類稀なる才能 Maarja Nuut、2021年裏ベスト『hinged』の日本盤CDを 3/18 リリース!

2022.02.16

Photo by Taavi Arus

エストニア・ラクヴェレ出身の音楽家 Maarja Nuut (マーヤ・ヌート) が2021年裏ベスト・アルバムとの呼び声も高い最新アルバム『hinged』を日本で 3/18 リリース!San Araw との共作も話題となり、類い稀な才能を持つ実験音楽家として各所から高い評価を得ているエストニアのコンポーザー、プロデューサー、ヴァイオリニスト。Maarja Nuut の最新作『hinged』は、ele-king や Resident Advisor でも絶賛され、2021年裏ベスト・アルバムとの呼び声も高い。日本盤のみリリースされるCDには、ボーナス・トラックを追加して3月18日に発売される。

2013年にデビュー以来エストニアの伝統的な楽器編成と曲作りを再構築したり、エストニアのフォークロアとアトモスフェリック・テクノを融合するなどして、類い稀な才能を持つ実験音楽家として批評家から高く評価されたてきた。本作『hinged』はソロとしては3作目、Ruum こと Hendrik Kaljujärv や酩酊サイケ・ダブの重鎮 Sun Araw とのコラボ作も含めると通算6作目のアルバムである。

エストニアの海辺のスタジオにてプロデュース、録音をほぼ1人で敢行しており、本人は「私にとって初めての本格的なソロ・アルバムのような気がします」と語っている。モジュラー(ユーロラック)のモダンなサウンドをランダムに配し、(自分の)声の実験的な可能性を受け入れ、古いヴェルモナのオルガンを弾き、新旧様々な要素を織り交ぜていくなかで完成させた。収録曲のうち3曲にスイスのジャズ・ピアニスト/パーカッショニストの Nicolas Stocker をフィーチャーしており、アルバムの展開に重要なアクセントを加えている。

Nicolas の小気味よい五月雨のようなパーカッションに、刻まれ浮遊するような Maarja のボーカルとオルガンが絶妙に心地よいジャジーなタイトル・トラックで幕を開け、続く「On vaja」でも変則的ながら独特のリズム・キープに中毒性のある Nicolas のパーカッションと周波数をトリップさせる不協和なシンセとぐにゃっとエディットされたヴォーカルでややポストロック調の様相をみせる。ファースト・シングルとしてリリースされた「Kutse tantsule」(ダンスの呼びかけ)では脈打つリズムの中でループし、子守唄のようなボーカルで「あなたも私と一緒に踊りに来ますか?」というフレーズを繰り返し、アトモスフェリックでどこかポップな世界を演出。

「mees, kes aina igatses」は、おそらく Maarja の以前のアプローチに最も似ており、木管楽器も絡めて伝統的なエストニアのヴィレッジ・スタイルのようだが、倍音構造にアレンジするなど穏やかな雰囲気とドローンでアップデートしており、未来のフォーク・ソングともいえる独特の牧歌的なムードに引き込まれる。「vaheala valgus」はオルガン・ドローンにハミング・ヴォーカルが融合する無重力のオデッセイをみせ、「subota」では重層的なクリック・ビートと転調させたヴォーカルで秀逸なアンビエント・ダブを披露。

ミニマルな展開の「a feast」を経て再び Nicolas をフィーチャーした「jojobell」へ。タイトでパーカッシヴなリズムに彗星が急降下するようなシンセを絡めたスペーシーで独特なグルーヴを放つ。「a scene」は後半のハイライトになるトラックで、郷愁にみちたメロディに Maarja の美しい歌声が注がれ、彼女がより伝統的な曲の構成に従ったときに極めて美しく機能させることができることを示している。そして神秘的なオルガン・ドローンに美しいヴォーカルのタペストリーが幻想的なアンビエント・フォーク「moment」で幕を閉じる。

多岐に渡るアプローチを見せながらも、通底する幻想的でリズミック且つどこかグルーヴィなテイストが綿密なバランスでブレンドされたこの作品は中毒性に満ちている。エストニアのフォークロア、アンビエント〜エレクトロニカ、そして現代的なダンス・ミュージックを点と線で結びつけるような探索的・革新的で極めて秀逸な作品だ。なお、CDリリースは日本のみ。本作のアウトテイクとなった1曲をボーナス・トラックとして収録。

■リリース情報
Artist: Maarja Nuut
Title: hinged
Label: PLANCHA
Cat#: ARTPL-164
Format: CD / Digital
Release Date: 2022.03.18
Price(CD): 2,200 yen + 税

※日本盤ボーナス・トラック1曲収録
※解説・歌詞・対訳付き予定

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