interview :
シンガポール発エンドレス・サマー・ギター・ポップ
アジアのインディーシーンより紅一点のヴォーカリスト、セリーヌ・オータムを中心とした3人組 Sobs(ソッブス)がフル・アルバム『Telltale Signs』をリリース!

6月22日に1stアルバム『Telltale Signs』をリリースしましたね (日本盤は Inpartmaint からは7月27日に発売された)。自分達のフルアルバムを完成させたことでどのような思いを感じましたか?ちょうど1年前にリリースされた1stEP『Catflap』と比べて変化はありましたか?

    Jared : 僕たちは自分たちで作り上げるということを本当に信用していて(ベッドルームで!)、クリエイティブなプロセスをすごく楽しんでる。アイディアを出したり、コンセプトを作ったり、そしてそれを僕たちのベッドルームを超えて自分たちよりも大きなものに変えていくということには、特別な何かがある。音楽を作るプロセスをそれぞれが楽しんでいなかったら、これは続けられないよね。

   Celine : EP『Catflap』を作っていた時よりも私達はより多くの良いアイディアが出せたと思う。私たちが作る音楽、書いている詞や語っているストーリーはより深く、本質的で意図的なところから来ていて、それが聴いてくれる人たちにも届いてくれたらいいな。

Raphael : 1stEPには全く期待していなかった。どんな音になるのかとか人がそれについてどう思うのか分からないまま、音楽をまさに作り始めたばかりというところで、世界中の人が『Catflap』を聴いてくれているということに驚いているよ。僕らは人としてもバンドとしてもその時と比べて成長してきたけれども、『Telltale Signs』によって創作活動の上でより自己認識を高める段階に入った。最初からアルバムをどのような音にしていきたいか、それで何を得たいのか分かっていた。EPが出てからリスナーが僕達に何を期待するのか、何を求めるのかを考えるのが少し怖かったけど、昨年の僕達のように自然体で楽しみながら作るのを忘れないことは重要だね!

アルバムタイトル曲「Telltale Signs」のMV

6月下旬に行われた、ヘッドラインのギグはどうでしたか?

    Jared : 今までで初めてのヘッドライナーだったし、誰も見に来てくれないんじゃないかと思ってた……でも、本当に、本当にたくさんの人がその日のショーを見に来てくれて、人を追い返さなければとさえ思った! 会ったことのないたくさんの人が歌詞やギターリフをどれも合唱しているのを見るのは本当にすごかったーーまだ夢みたいだ。

   Celine : 今回のショーは超特別な8人編成で、アコースティックギターはCherie Ko (Pastelpower/Obedient Wives Club) 、ベースはZhang Bo (Cosmic Child -彼らのアルバムもInpartmaintからリリースされる!) そしてDaniel Borces (of Subsonic Eye)にゲスト出演してもらった。友人達とコラボレーションができて、一体となって音楽を作る素晴らしい時間を過ごせたのはとても良かった。

Raphael : インドネシアのインディポップレーベル Kolibri Rekords から Bedchamber、 Grrrl Gang や Gizpel 僕らと同じレーベルの Subsonic Eye も一緒にショーに呼んでプレイして、似たような考え方で、ポップソングとドリーミーなメジャー7コードを愛しているということでつながっているバンドと一緒にステージに立てたのは素晴らしかった。お客さんがショーの間クラウドサーフィンやモッシュをしているのを見て、インディポップミュージックでもそれをやるのかと思うと面白かった!

結成の経緯を教えて下さい

   Celine : ジャレッドと私はミュージックフォーラムで出会って、ジャレッドとラファエルは CHVRCHES のコンサートで出会ったの。結成する前にジャレッドと私は "Cole slaw" という小さなプロジェクトで数ヶ月何曲か共同制作をしていて、ある時に彼が気まぐれで作った “Girl”のインストゥルメンタルデモを送って来て、そこで私が数時間のうちに 最終的なリリースにかなり近い形のボーカルを送り返したんだよね。2人ともいい曲ができて本当に嬉しくて、それをラファエルに送った。彼もそれをとても気に入ってくれたので、その後すぐの間に私たちと一緒に演奏や録音をしてくれるように誘って、アルバムを彼のレーベルである Middle Class Cigars からリリースすることになった。

普段はどうやって曲を作っているんですか?

    Jared : 曲作りは大体はオンラインで始まっているね……僕は曲の演奏の案が思いつくとそれをセリーヌに送って、彼女は大抵 Macbook 内蔵マイクを使ってレコーディングしたボーカル案を送り返してくるんだ。アルバムの何曲かは3人で同じ部屋で書いたものだけどね!

それぞれのルーツミュージックを教えてください。

    Jared : 僕は90年代のギターロックを聴いて育った。ロックな演奏に強烈でポップなメロディーやフック…… Weezer みたいな感じのバンドかな!

   Celine : 前は70年代のロックや80年代のロックをたくさん聴いてたーマリリン・マンソンの大ファンだったんだよね!90年代にインスパイアされたロックや多くのポップミュージックも大好きだし、それが自分の作る音楽の方向性にも影響している。

Raphael : 13歳の時にポスト・ロックやマス・ロックを知るまで、僕は音楽に全然興味を持たなかった。それからギターを始めようと思った……少なくともそれでデカイことをしようと思って。ちゃんとしたギターの弾き方を分かっていないという確信はまだかなりある。

インディポップ・ヒーローになるのとメインストリームで受け入れられるのでは、どちらの方を好みますか?

   Celine : どっちにもなりたい。私の尊敬するアーティストはクロスオーバーで、いろんな層に受け入れられている人が多いしーーカルト的なファンベースとメインストリームの魅力があるーーCharli XCXやParamoreとかそういったアーティスト。

Raphael : 僕はインディポップ・ヒーローが似合うだろうと思う。僕は未だに僕らの音楽を聴いている世界中の人がいるということが怖いし、メインストリームにはもっと多くの人がいるし、彼らの期待に応えなければならないし……僕の個人的な意見だけどね!

    Jared : 僕はスターになりたい。そうすればもっと素晴らしいものを作るためにお金をかけられるから。

バンドのWebサイトに書いてあるプロフィールでは、"uncool Pop Music" と言っていて、"Pop Music" と称しているにもかかわらず内省的に思えます。音楽については、歌詞やメロディーが光と影を行ったり来たりしているような印象を受けます。こう言った2つの局面を意図的に表現したいと思っていますか?

   Celine : 曲を書くときはいつもその時に感じていたことについて書いているだけなので、対比は意図的ではないんだよね。このアルバムを作っているときはジェットコースターに乗っているような、浮き沈みするような感情だった。おそらく、このアルバムがより重く、より暗いテーマに向かいがちだったので歌詞もそこに行き着いたのだと思う。

    Jared : 僕はわざわざキラキラしてハッピーなメロディーやコードで曲を書こうとはしないーー曲を書くたびにそうなるというだけなんだ。この「光と影を行ったり来たりしている」という表現はしっくりくると思うね。僕らはポップミュージックが大好きだから、それが僕らの音を表している。 “Telltale Signs” や “All Poison” のような何曲かは音響的により重く、暗いものを潜めた方向に向かっていったけれども、その本質は依然としてポップソングだ。

デジタルとアナログ (カセットテープ) の音源を両方出していますね。あなた方にとって音楽を聴いてもらう上で好ましいと思うのはどういった方法ですか?

   Celine : 僕らはビニールのアナログ盤やカセットのようなアナログメディアが好きなんだーー人が好きな音楽を自分の手の中で握って、その人の1日からレコードをかけるための時間を取ることができるというのは魔法のような感じがする。でもそれと同時に、別のオーディエンスや人口統計、そしてたくさんの僕らのリスナーについて考えるのはとても重要だ。

特に比較的若い層はアナログ音源を使わないし、レコードプレーヤーやカセットデッキを買うお金がない。僕らは可能な限り手に届きやすい方法で音楽を作ることが重要だと思っているーー誰でも、12歳の男の子のベッドルームでも、50歳男性の車内でも僕らの音楽を聴けるようにーーつまりSpotifyやYoutube、Bandcampでのデジタルデータ、CDやアナログメディアでも聴けるようにするということになる。

次のアルバムではどのようになっていたいですか?

   Celine : まだずっと先のことだから考えられない。長い間ずっと “Telltale Signs”に取り組んで来ているしね。私たちはライブやツアー、そして生活で今とても忙しい。次のアルバムをどうするかまだ決めてないけど、何か新しいものを開拓して、今までのアルバムのように自然体でただ楽しみたい。

最後にアジアのインディロックシーンについてどう思いますか?(アジアにライバルはいますか?日本に来る機会はありますか?など)

Raphael : 僕らはアジアのとても、すごく、本当に多くのインディポップ/インディロックバンドが大好きで、彼らがいなかったら僕らは多分今の場所にいないと思う。インターネットによって、地理的な境界を超えて音楽を発信できるようになり、アジアと西洋のロックシーンの境界線がだんだん曖昧になってきた。

このアジアのバンドの一時代の一部になれていることを非常にラッキーだと僕は思っている。いつかより多くのアジアのインディバンドがPitchforkやStereogumのようなメインストリームのインディプレスで取り上げられるようになり、世界中のより大きな国際的音楽フェスティバルで演奏できるようになればと思うーー今までよりは、そこに届くような気がしている。

そもそも、”ライバル”はいないと思っている。音楽は全く競争なんかじゃないからね!アジアに僕らと似たような感じの音とか同じ空気感やファンベースを持っているバンドはかなり多いーーいくつか挙げるだけでもレーベルメイトやインドネシアの Kolibri Rekords、フィリピンの Mellow Fellow、タイの Phum Viphurit、韓国の Say Sue Me、台湾の Sunset Rollercoasterなどがいるーー彼らは皆良い友人達で、心から尊敬するアーティストだ。いつか彼らとコラボレーションをして、お互い刺激し合いアジアの音楽の発展に貢献したい。

僕らは本当に、ホントに、ほんとうに、日本でツアーがしたいよ! うまくすればすぐ近い将来に! 日本の音楽シーンや、僕らが知っていて大好きなバンドについてたくさんの良い話を聞いているーー For Tracy Hydeや Seventeen Years Old And Berlin Wallとかーー 彼らが『Telltale Signs』のことでも僕らに話しかけてきてくれたよ。では近いうちに、またね!

日本盤ボーナストラック、Rocketship のカバー曲「I Love You Like The Way That I Used To Do」

インタビュー/翻訳 : Lisa Tominaga