interview :
She, in the haze 新作ミニアルバム『ALIVE』インタビュー

まずは She, in the haze のバックボーンについて教えて下さい。どんな音楽やバンドから影響を受けましたか?

 一番影響を受けてるのは、ヘヴィメタルだと思います。Stratovarius とか BLIND GUARDIAN などは本当によく聴いてました。他には children of bodom、In Flames、Cannibal Corpse なども大好きでした。激しいだけでなく、世界観が強烈なものに惹かれてましたね。

洋楽ばかり聴いていたので、逆に邦楽には全然詳しくなくて。最近いろいろ聴いて勉強しています。中でも小田和正さんは本当に衝撃的でした。歌声、歌唱方法、楽曲、どれをとっても別格で。ジャンルがどうであれ、心に届くものを発信していきたいと思わせてくれた存在ですね。

2016年にリリースした最初のミニアルバム『Mama said』から約2年半ぶりとなる本作『ALIVE』のコンセプトについて教えて下さい

 『Mama said』を出した時は、とにかく自分の納得のいく作品を作ることしか考えてませんでした。ライブでどうとか、他の誰かが聴いてどうとか、そんなことよりも自分が聴きたいと思うものなのかが一番大事でした。もちろんその気持ちは今でも持ってますし、持っていなければいけないものだと思っています。

ただその中で、少しづつ She, in the haze を知っていただく方が増えてきて、ライブを楽しみにしてくれる方も増えていきました。自分の中で変化というか・・変化ではなくて新しい感情ですかね、「もっと与えられたら。」という気持ちが芽生えてきました。もちろんそれは「救い」とか「希望」とか、そんな大それたものじゃなくて。僕がこんな事言うのも変ですが、チケット代って決して安いものではないと思うんです。当日ライブハウスへ行く交通費だって。さらにそこまで行く労力。ましてや遠方から来る場合どれ
だけの費用と時間を費やしていることかと。

それを考えた時に、それ以上のものを持って帰ってもらいたいと考えるようになりました。なので、今回は初めての挑戦ですが、ライブをコンセプトに置いた作品にしたつもりです。ともにライブを作れる・・いわばフロアにいるリスナーもいちメンバーであり、一緒に完成させる、そんな作品を作ることに重きを置きました。

『ALIVE』の前に2枚のEP『Paranoid』『Last forever』を発表、昨年2018年にはヨーロッパツアー (ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ) を行うなど積極的に活動されていますが、前作のミニアルバム『Mama said』から大きく変化したことはありますか?

 そうですね、やはり以前より圧倒的にバンドを知っている方が増えたことと、ライブに対しての考え方が大きく変化したことですかね。また同時に、She, in the haze に似ているバンドがなかなかいないというか・・。どんなバンドさんと共演するとリスナーが楽しめるのか、それを考えると難しいなと。そこでたくさんのバンドさんを調べたんですが、皆さんすごく拘っていて、かっこいい音楽をされてるんですね。そんなバンドさんと共演できる自主企画も楽しみのひとつとなりました。

ヨーロッパツアーで4ヵ国で公演を行っていますが、海外での反応はどうでしたか?また何か印象に残っていることなど教えて下さい

 ライブに対しての考え方が変わったと先ほど言いましたが、その中でもヨーロッパツアーは大きな転機になったと思います。海外の方の盛り上がりやリアクションが凄まじくて。(笑) 発信した以上のものが返ってくる。もっと楽しみたい、もっと解放したいという気持ちが伝わってくるんです。あぁ、ライブってこういうものなんだと感じた瞬間でした。

ただ、これは帰国してから気付いたことなんですが、日本のリスナーも全然負けてないじゃんと(笑)ものすごい熱量をぶつけてくるのは、国や文化は関係ないんだなと。ライブに求めるものは、人種問わず変わらないんだと思いました。

ミニアルバム全体を通して攻撃的なポップロックでありながら、北欧のバンドのような世界観も感じました。これはバンドのコンセプトにある、”幻想的な空間を作りだす” という所に起因するものだと思いますが、何か意識している点などありますか?アメリ
カのビルボードでは Rising Japanese Dream Pop Trio と紹介されていましたね

 そうですね、ライブを意識したコンセプトにしましたが、基本的なことは変わっていないと思います。音を聴いて情景が浮かぶ、そんな曲を自分自身好んでいるので、その世界観は残るよう意識しました。こういう場面ではどんな音が鳴っているかなとか、この感情を音で表現するならどういうリズムでどんな音かなとか。そこは自分のルーツでもあるように、変わらないもの・・というか変えてはいけないものなんだと思っています。

ここからは収録曲について教えて下さい

すべての楽曲にいえることですが、実際の自分の感情とか、経験したことを表現しているわけではなくて、架空の物語をいちから作るファンタジーになってます。今作は主に戦いの場面が多く、人間の意志の部分にフォーカスした作品にしました。ライブにコンセプトを合わせた時、思ったのが、多くの人とともに拳を上げ、声を上げる。その様はこれからいざ戦いに出向くために指揮を高めるスピーチに少し似てるかもしれないなと。なので戦いを軸においた楽曲が多くなったと思います。

なるほど。ではタイトル曲でもある「Alive」はどのような物語になってますか?

 「Alive」は自分自身に侵食されかけている主人公を置き、その葛藤の様を表現しました。人はいつももうひとりの自分と対話と葛藤が生まれている生き物だと思うんです。そのもうひとりは人によって様々ですけど、甘い言葉を投げかけたり、弱さだったり、はたまた自分を奮い立たせるものであったり。生きる上で、様々な意見が飛び交う中、いくつもの戦いがあると思うんですが、一番多く戦うべき相手は自分自身なのかもしれない。その葛藤という戦いを表現しました。

6曲目の「Saint」は他曲に比べエレクトロの要素が多い作品になってますが、この曲はどのような世界観を表現されていますか?

 この曲は、絶対的な忠誠心とともに時代を変えていくために戦う戦士を表現しました。「Soldier」でも忠誠を誓って、それのために戦う主人公を作りましたが、そこでは葛藤を振り払うかのように意志を固める心情を描きました。それとは若干違い、「Saint」では一片の迷いもなく、時代を変える先駆者に寄り添い命も惜しまず正義の戦いに挑む様子を表現しました。時代背景はかなり昔です。剣と盾を持ち、まだ統制のとれていない世の中で、戦うことでしか変えられない時代背景をイメージしました。

5曲目の「Hallelujah」は静と動がはっきり分かれていて、かなり劇的なアレンジとなってますが、これはどのようなイメージなのですか?

 この曲は戦いに出向くようなアグレッシブな要素ではなく、最愛の存在を亡くし、生きる事に希望をなくした主人公を描きました。彼女のいる天に引き上げられていく様を音で表現しました。終焉の賛美歌のような世界観というか。降り注いでくる洪水のようなサウンドの中に、一筋の光が差しこみ導くように引き上げられるような、そんな情景を音で表現したつもりです。

今後の活動や、ビジョンを教えて下さい

 そうですね、まずは今作のツアーに集中したいです。ライブでリスナーと一緒に完成に持っていく作品に仕上がったと思っていますので、どのような完成形になるか楽しみでもあります。その中で、もっとこうしたい、ああしたいというような気持ちがまた新たに芽生えるかもしれません。その時々の感情に素直に従って、今後も楽曲制作に向き合っていければと思っています。

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■リリースツアー
3/10(日)@札幌SPIRITUAL LOUNGE
3/19(火)@京都GROWLY
3/20(水)@名古屋 ell.SIZE
3/22(金)@大阪 Live House Pangea
3/27(水)@東京 渋谷SPACE ODD (ツアーファイナル ワンマン)

<チケット購入については、公式HPライブ情報にて>
http://sheinthehaze.com/ja/index.html#live

<She, in the haze公式サイト>
http://www.sheinthehaze.com/