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Rex Orange County、最新アルバム『Pony』日本盤発売・最新インタビュー

Rex Orange County (レックス・オレンジ・カウンティ) 最新インタビューが到着!2019年10月に3作目となるアルバム『Pony』をリリース。日本盤も2形態<完全生産限定盤にはオリジナル・サコッシュ付き>が 1/29 に同時発売されました。そしてサマソニ以来となる来日公演が、5月18日 (月) マイナビBLITZ赤坂にて開催されます。

■リリース情報
レックス・オレンジ・カウンティ『ポニー』日本盤CD
2020年1月29日(水)2形態同時発売
完全生産限定<オリジナル・サコッシュ付き>3500円+税
通常盤 2200円+税
※以下2形態共通 全11曲 / 歌詞・対訳・解説付き / ボーナス・トラック1曲収録

Rex Orange County サコッシュ

■来日情報
2020年5月18日(月)東京:マイナビBLITZ赤坂
OPEN18:00/START19:00
お問い合わせ:クリエイティヴマン03-3499-6669
<レックス・オレンジ・カウンティ(日本オフィシャルサイト)>

ーー前作『Apricot Princess』を作り終えた時点で、「次のアルバムではこんなことをしたい」と思い浮かべていたアイデアはありましたか?

アイディアは頭のなかにポツポツとあったんだけど、今回はそれをまとめ、明確にして1つの形にするということが、これまでよりも断然難しかった。明らかにクラブ・ミュージックなみたいなものは作りたくなかったし、アイディアがまとまるまでに2年丸々かかったんだ。でも出来上がってみて、すごく満足してる。作りたいと思っていたサウンドを形に出来たと思うね。

ーーレーベルと契約しないまま2枚のアルバムを発表。自分だけの力で評価を確立し、世界中でファンを獲得してきたあなたですが、ここにきてメジャー・レーベルと契約しました。何か変化はありましたか?

正直、あまり変化は感じてないんだよね。周りの皆に協力してもらいながら一緒に働いているのを楽しんでるし、皆すごく僕の意見を尊重してくれて、クリエイティビティが壊されることもない。やりたいことをやらせてくれているし、必要な時は一緒にいてくれるから、すごく助かっているんだ

世界が僕のアルバムがリリースされることをリリース前から知ってるというプレッシャーはちょっと大きくなったけど、活動と共にどのアーティストにとっても環境は自然に変わっていくし、アルバムを出すたびに状況も違う。レーベルの皆はそれをサポートしてくれたし、僕自身も今回3枚目のアルバムだけど、なるだけ変わらず自分自身であり続け、自分自身が誇りに思える、好きだと思える作品を作れるようベストを尽くすことに務めたんだ。

ーーあなた自身であることを貫きながら今回新たに挑戦したこと、持っていた新しいアイディアはありましたか?前作と最新アルバム『Pony』の違いはどこでしょうか?

一番の違いはプロダクション。楽器のディテール。声の後ろでどんな音が聴こえるかがすごく変わったと思う。これまではただプレイすればそれで満足していたからかなりスムーズだったけど、今回は何度も何度もトライして、その曲にとってのベストなサウンドを追求したんだ。

ーー結果的に本作は、あなたがひとつの大きな試練を克服する過程をドキュメントしています。そういう作品を作ろうという決断は、自然に成されたものなのでしょうか?

そのアイディアは、実際の経験から来たもの。アルバムを作っている間はすごくフラストレーションを感じていて、今まで人と問題があったことなんて殆どなかったんだけど、今回初めてそれを経験したんだ。ビジネスが関わってくると、これまでには考えなくてよかった問題が出て来たりするだろ?それが自分にとって大きなインスピレーションになったんだ。もちろんアルバムを作っている時に良いことも沢山起こっていた。愛する人たちが周りにいたし、素晴らしい経験も積んでいたけど、それについてのラブソングだけど書くのではなく、その時同時に経験していたもう一つのサイドのことを書きたくなったんだよね。良いこと以外の、これまでは必要なかったけど今この状態にいる自分が対処しなければならなくなったその他の物事。葛藤のある毎日というのは、自分にとって本当に大きなインスピレーションだったね。

ーー今回も引き続きセルフ・プロデュースで、楽器はほぼ全て自分でプレイするという形をとっています。それは、practicalな理由によるものなのでしょうか?

ベン(・バプティ)に沢山助けてもらってるから、僕的にはセルフ・プロデュースとは思っていない。彼は前回のレコードのミックスも手掛けてくれていて、またお願いして一緒にスタジオに戻ったんだ。殆どの曲は僕がまず一人で作って楽器も演奏してるけど、「オールウェイズ」とか「エブリウェイ」なんかは彼のおかげで抜群に良くなった。他にもプロデューサーの選択肢は沢山あったけど、彼こそが僕が一緒に作業したい人だったんだ。未だに僕自身がコントロールしたいと思うことも沢山ある。例えば楽器とかは、どの音をどこで鳴らしたいかやっぱり自分が一番わかっているからね。でも、彼はすごく僕のことを理解してくれているんだ。

ーー本作では楽器の音が言葉と同じくらい雄弁にエモーションを伝えていて、あなたのアレンジャーとしての力量を印象付けています。ダークな前半の気分はホーンに語らせ、光が見えてきた後半の気分はストリングスに語らせている点も、興味深く感じました。各曲をどういう音で鳴らすかというアレンジとプロダクションの作業は、どのように進めているのですか?

アレンジやプロダクションに関して、ベンの助けは大きいんだ。僕がメロディやコーラスのアイディアを持っていくと、そのアレンジをベンが助けてくれた。その間のブリッジを考えたり、曲の方向性を一緒に決めてくれたりして。彼がいなかったら思いつかなかったアイディアも沢山あったと思う。僕がアイディアをもっていても、それが正しいのか、どうしたらいいかわからないことがよくあるんだ。そこで彼がセカンド・オピニオンをくれて、そのアイディアが正しいか、変える必要があるか判断することができる。それがすごく楽なんだよね。

ーー自分一人でのアレンジやプロダクションに関してはいかがですか?

ストリングは全部自分でやった。曲をより良くするために、あのストリングセクションを全部自分でレコーディングして、曲に取り入れたんだ。ストリングのアイディアを思いつくのって、僕にとってはすごく自然なんだよね。だから簡単に思いつくんだ。特にストリングスや管楽器に関しては、僕自身が聴くのが好きなサウンドだから、トライすることが難しくない。自分が何が好きで何を求めているかが明確だから、ピアノでそのパートをすんなりと作れるんだ。

ーーこれまでの作品にはあまりなかった、ロック志向の曲が本作には多数含まれているように感じました。若い頃のあなたはロックバンドもたくさん聴いていたそうですが、そういうルーツに立ち返ったようなにところもあるのでしょうか?

アルバムを作っている時は、結構バンド・ミュージックを聴いてたんだ。特にレディオヘッドは沢山聴いていたな。多分それが自然と音に影響したんだと思う。音のディテールのプロダクションを考えている時なんかに出て来たんじゃないかな。僕はブリンク182とかウィーザー、グリーンデイを聴いて育っているから、ああいうストレートなロックサウンドが大好きなんだよね。そういった音楽は常に僕のインスピレーションだし、僕の中から消えることはない。ああいう音楽のソングライティング、歌詞、コード、曲構成は未だに僕のお気に入りなんだ。

ーー『Face To Face』ではなんとPino Palladinoがベースを弾いているそうですね。彼の参加を得るに至った経緯を教えて下さい。

あれは最高の出来事だった。僕とベンで、もしあの曲に最適なベーシストを迎えることが出来るとしたら誰だと思う?っていう会話をしていたんだけど、ほぼジョークでピノの名前を出したんだ。彼はレジェンドだからね。で、その流れで、マネージャーに頼んでオファーしてもらうだけしてもらおうという話になった。そして次の日、彼に曲と僕の電話番号を送ったんだ。そしたら1週間後、僕がアムステルダムにいたときに、知らない番号から電話がかかってきて、それがピノだった(笑)その電話で曲の話をして、彼がスタジオに来て一緒に作業しても大丈夫かと聞いてきたから、”もちろん!”と答えたよ。そして確か2018年の12月くらいに彼がスタジオに来て、1~2時間一緒に作業したんだ。4、5テイクくらいで、全然時間がかからなかった。彼は作業がしやすいし、優しいし、才能があるし、最高なんだよ。彼にどんな風にプレイしてほしいか伝えるつもりだったけど、それがいらなくなるくらい彼が直感でプレイしたものが素晴らしかった。あれには感動したね。

ーータイトルの『Pony』はどのタイミングで思い付いたんですか? そこに込めた意味を教えて下さい。

前のアルバムを完成させた時に自分が好きな言葉を電話にメモしていたんだけど、その中の一つを選んだだけなんだ(笑)プロに聞こえないかもしれないけど、ファースト・アルバムも同じく内容よりもタイトルが先に決まっていたんだよね(笑)あれも、僕が大好きな言葉の一つだった。”ポニー”という言葉からは、若さや成長を感じるんだ。ポニーは子馬、つまり若い馬だけど、僕自身が今若い男(大人)だと感じるからそのタイトルを選んだ。響きも意味も好きだし、”Pony”という言葉の見た目も好きだったし。

ーーロンドンのブリクストン・アカデミーで3公演を完売させるなど、規模がどんどん大きくなっていますね。ライヴ・パフォーマンスへのアプローチはどう変わってきましたか?

アプローチが変わったとは思わない。違いは、会場が大きくなったのと、人数が増えることでのプレッシャーの大きさかな。一度ステージに立つと、皆からの視線を避けるのは不可能なんだよね。人数が少ない方がやりやすいけど、それは受け入れるしかない。大きなショーをやりたいとずっと前から夢見ていたし、大きな会場で演奏するのももちろん好きだから。

ーーまた、日本でも5月に来日公演を行うことが発表されましたね。今回のツアーではどんな演出を考えていますか?

僕が一人でマイクの前に立っているショーではあることは変わらないけど、もっと新曲をプレイするし、もちろんファースト・アルバムからの曲も数曲プレイする。今は時間も1時間半と前より少し長くなって、プロダクションもヴィジュアルも前より意識しているんだ。やっぱりショーにわざわざ来てもらうんだから、来たからこそ経験できるものを体験してほしいしね。僕自身ももっと心地よく演奏できるようになったし、前よりパフォーマンスも良くなってきているし、自分自身がショーを楽しめるようになったと思う。

ーー日本のファンへメッセージをお願いします。

ハロー、日本のみんな!5月にまた皆に会えるのが待ちきれないよ。前に行った時、すごく良い時間を過ごせたからね。アルバムを聴いてくれてありがとう。東京でまた演奏できることを楽しみにしているよ!