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DYGL、サードアルバム『A Daze In A Haze』インタビュー

DYGL が待望のサードアルバム『A Daze In A Haze』を 7/7 にリリース!10月には本作を携えて全国19ヶ所を巡る<A Daze In A Haze Tour>の開催が決定。前回に引き続き、フロントマンの秋山さんにメールインタビュー決行!今回もフランクに真摯にメールインタビューに答えてくれました。アルバムの背景や内部に迫るために是非読み進めて頂きたい。最後には DYGL のリードギター、下中さんによる「この夏読むべき5冊」もリストアップして頂きました。

ーー アルバム『A Daze In A Haze』のタイトルは、先行シングル「Sink」の歌詞から取られたものだと話していますが、アルバムのテーマやコンセプトについて教えて下さい。

今回のアルバムタイトルを ‘A Daze In A Haze’ 邦題を ‘朦朧’ としたのはコロナや、コロナによる閉塞感からの影響はあると思います。ですが、楽曲制作にあたってはむしろ 「突き抜けた青空と芝生」を感じるような抜け感を出したいねとメンバー間でよく話していました。

適度に格好いいものは簡単に作れる時代になった今、大ゴケするものが減った分突き抜けて面白いものも減った様な気がしていて。色々なタイプの音楽に魅力を感じますが、クールだけどBGMで終わってしまう様な音楽ではなく、思い切り耳を捉える曲をやってみるのは一つのテーマでした。隠しきれない内向的な空気は、至る所に滲み出ていますが 笑  そうした二面性も、自分たちらしいのかもしれません。

ーー パンデミック後ロンドンから日本に戻ってきて、しばらく自分たちの足元を見つめ直す時間があったと思いますが、どのように過ごしていましたか?

それぞれの時間を、別の場所で過ごしていました。僕(秋山)が沖縄に数ヶ月、ギター下中が京都で、後2人が東京といった具合です。それまで海外での共同生活や、数ヶ月に渡るツアーなど、一緒に過ごす時間が長かったので新しい枠組みでの生活が始まった感じがしました。

この時期に既にツアーを終え、大きな稼働が決まってなかったのは不幸中の幸いですが、決まっていたライブがいくつか飛んでしまったのは残念です。各々が制作をしたり、バンドの今後や、自分のこの先の人生について思い巡らせていた様に思います。

思い切りダラダラして何もしない日もあったし、止まっている様で劇的に動いている世の中について、調べ物をしたりもしました。

ーー レコーディングも過去2作とは違ったものになったのではないかと思いますが、アルバムの制作とレコーディングのプロセスについて教えてください。

今回は今まで以上にメンバー4人の意見が反映され、共作も増えました。これまでは僕が全体の青写真を描き切ってからスタジオに入ることも多かったのですが、自分が完全に1人で描き切りたい絵と、せっかく集まった4人で描きたい絵が違うということにセカンドアルバムの頃に気づいて。

今作はあまり完成図を意識しすぎず、今までと比べるとかなり自由度の高い、フットワークの軽さでお互い曲を練って行けたような気がします。以前は自分の中のイメージをバンドに合わない形で無理矢理表現していたのかも、と。少し前からサイドプロジェクトやソロの事も考え始めていたので、ある意味心の中で融通が効く様になった。

自分としてはやりたいけどバンドにハマらない物をDYGLに無理に持ち込むのはやめて、DYGLでは この4人じゃないとできない音楽をやりたいと思う様になりました。そうすれば自分の中で完成しているイメージは自分の好きな形でアウトプットできるし、それぞれ自分1人で出来ないことを今度は DYGL で違うアプローチとして挑戦できる。音楽的な成長の場所がいくつも生まれるのはむしろ楽しいかもと思えて。個人的には、とても大きな気づきでした。

具体的な制作としては今回はプロデューサーをつけると言うより、エンジニアとしてサポートしてくださる方を探して製作しました。これまで連続して国外のプロデューサーやクリエイターとのお仕事が続いていたので、音作りからデザイン全般まで日本のチームで組めたのは新しい挑戦っていう感じでした。

これまでずっと日本でも信頼できるチームを探してきたのですが中々出会えていなかったので、縁やタイミングって不思議だなと思います。何かが上手くハマったんですね。レコーディングエンジニアの hmc スタジオ 池田さん、アートディレクターとして Masako Hirano さん、そして前回のアルバム前後からマネージメントチームに参加してくれた小祝さんなど、感性を同じ目線で共有出来る人が周りにいてくれたことはバンドを大きく前進させてくれました。

何かが上手くハマらず息苦しそうなバンドや人も知っているので、一緒に仕事をする仲間が本当の理解者かどうかというのがどんなに大切か、改めて感じます。どんな立場であれ、音楽を本気で好きな人たちばっかりと関わっていきたいですね。そういう点で、良いチームに恵まれて僕らはかなりラッキーだと思います。今後も、本気で音楽のことを好きな人たちと出会いたいですね。レーベル関係者でも、メディア関係者でも、美術をやっている人でも、真剣に音楽を好きな人のエネルギーが僕たちは好きです。

ーー パンデミックの影響を反映した、ベッドルームの孤独感や憂鬱をモチーフにした歌詞、「部屋」というワードがいくつか使われています。このアルバムに込めた想い、メッセージみたいなものがあれば教えて下さい。

歌詞という意味では、今までは歌詞を書いてやるぞと構える気持ちが結構あったような気がします。今回も完全に変わったわけではないのですが、どちらかと言えば自分の感覚をそのままの形で書くという選択肢に気付いて。

歌詞だからといって歌詞らしく形式に当てはめる必要はない、とこれまでも思ってたはずなんでけど、頭でわかってるのと感覚でわかるのって違うんですね。何枚もアルバムを出してみてようやく自分が何が気持ち良くて何がそうじゃないのかわかってきた。

一度やってみるって大事ですね。そういう意味では、勿論歌詞として良いものであっては欲しいのですが 今まで以上に日記の様な感覚を映し出している。そして そういう感情とこの時期に一番出会った現場が「部屋」だったのかもしれません。

今この環境で感じている孤独や、寂しさ、焦り、そして変わらない音楽への愛と期待。どこかで沸々と煮えたぎっている、今のままでは足りない、何か大きなエネルギーを求める心。そんな気持ちが表現されていると思います。

ーー 1曲目の「7624」で、加地さんが「プラグインで TR-808 のキックをベース音として使っていたら、この低音を弦のベースで出せるか心配でした。この曲を作るときは Joji (88rising) とか聴いていた気がします。」と話していますが、アルバムでこだわったポイントをいくつか教えて下さい。

拘ったポイントは曲によってもアルバム全体でも幾つもあるのですが、音作りやミックスの面ではポップスのアーティストがやっているような無駄を削いだ音の処理は取り入れてみようと考えていました。何にせよ今まで以上にシャープに自分たち自身がどう感じているのかを、どこかで妥協せず最後まで追い求める事。

こっちもこっちも良い、と思っていると統一感のないものになってしまうので、選択肢がある時も出来るだけベターなアイディアはどっちなのか突き詰めたと思います。前作までもその姿勢はありましたけど。ギターロックでありながら、演奏された楽器の音から輪郭を感じる様なダイナミクスが欲しかったので、ポップスやダンスミュージック的な音の処理は改めて意識して。

そもそもインディロック、ポップスとかカテゴライズされたジャンルの枠内にしかいない音楽に最近それほど魅力を感じないので、そういう意味でも世間的なカテゴライズに惑わされず 自分たちの中で気持ちの良い音をあちこちから取り入れることはテーマだったかもしれません。まだ課題もたくさんあるので、この先それをもっと追求します。楽しいチャレンジになりそうです。

ーー アルバムからの2曲目「Half of Me」が公開されたとき、新しいサウンドと素晴らしい歌詞にアルバムへの期待が高まりました。この曲はアルバム制作の「最後の最後に滑り込んだダークホース」と話していましたが、手応えはありましたか?リスナーは驚きを持って受け入れていました。

手応えはありましたが、思い切り大ゴケする可能性も感じてスリリングでした 笑  曲の情緒としては完全に個人的な琴線に触れていて、demoを自分で聴いている時の気分は最高だったのですが、DYGLとして出すべき曲なのか?とかは考えましたね。

他の曲との兼ね合いであまりに情緒が行き来すると結果なんだかわからなくなってしまわないかなとか。聴く側が一番良い形でこの曲を聴いて欲しいとも思ったし。そして色々悩んだ挙句、まあ面白そうなので出すか、みたいな 笑

前より深く考えるのを辞めたのかもしれません。良さを感じているならやってみようか。曲自体とても好きだったし、気に入ってくれてる方々がいるのは嬉しいです。思い切り嫌悪されても面白いですけどね。それってキャラがあるってことなので。もっとやれますね、そういう意味では 笑

ーー 1st/2nd のガレージロック・UKロックから大きなサウンドの変化を迎えています。パンデミックの影響も大きいと思いますが (ロンドンから日本に戻らなくてはいけなくなってしまったこと、ライブ活動ができないなど音楽市場の停滞など)、バンドに現在どのような変化が起きていますでしょうか?

自分でも不思議なのですが、確かにご指摘の通りロンドンから距離を置いたという事実はある意味関係しているかもしれません。でも実はコロナだからそうなったというより、学生の頃から憧れていたロンドンに2018~2019年頃に一度しっかり滞在できたことで、単なる憧れという対象から現実の場所としてイギリスが自分の中で再構築されていったことは大きい気がします。

学生の頃の憧れに、一度答えを与えてあげられた。コロナで離れたからというより、むしろコロナ前に憧れのUKに滞在して沢山のものを見て感じて自分の中で一度これがイギリスなんだと腑に落ちたことで、単なる憧れにケリをつけられたんだと思います。10代の頃から憧れ続け、いつかそうする必要があるなと何処かで思っていました。

ただ頭で想像するだけじゃなく、実際に自分の足でその地を踏んだ。良い選択をしたと思います。UKだろうがUSだろうが、日本だろうがその他の国の文化だろうが、良いものは良い。頭でわかっていたことを身体でもわかるようになったというか。コロナ前最後の夏、ロンドンを発って日本に戻ってくるときにはもう既にイギリスは偶像視する場所じゃなかった。

一つの音楽を愛する国として、親近感を感じる大切な場所の一つになりました。とか言って、次のアルバムで突然UKド直球ポストパンクアルバムとか作っても笑わないでください 笑 少なくとも、今は一度そうやって脱皮できた気分でいます。そしてそれは、コロナとは直接あまり関係がない気がします。

ーー 今作では様々な音楽スタイルを巧みに一つのアルバムに取り入れています。楽曲ごとにリファレンスとして様々なアーティスト (James Ivy、Mura Masa、Alex G、Soccer Mommy、 beabadoobee … etc) をあげていますが、メンバー4人の音楽性が反映されたものなのでしょうか?

そうだと思います。そもそも僕ら4人ともかなり違う音楽的な円を持っていて、ドンピシャ真ん中という世界観が存在するのかわからないのですが、それぞれが聴く音楽の良さはお互い理解している。

メンバーを通して、色々な音世界がDYGLの内部に還元されていく感じは以前よりあったと思います。ツアー中のバンの中で、それぞれの選曲を聴きながらリスナーとして音楽のシェアしていたのが、遂にアウトプットにも現れてきたと思うと感慨深いですね。

そういうすり合わせが難しくて、これ以上バンドを続けるのは無理だという時期もありました。それぞれ持っている色が濃い上にみんな音に正直なので、ハマらない時は本当にガチャガチャになってしまったり。

今回はそれが良い形でマッチしたんだと思います。それぞれの好きを削りあって作品にするんではなく、積み重ねて作品にするというか。これ口で言うの簡単なんですけどじゃあそれがどう言うことなのかって考えると自分でも難しいですね。

今回はそれがハマったんかな。でもマニュアル的にやろうとしても失敗するし、きっと毎回向き合ってやっていくしかないんでしょうね。一人一人、みんな少しずつ変わっていきますから。

ーー 今回のアルバムはサウンド面でも、アー写、アートカバーからも90年代の影響を感じました。特に beabadoobee と共鳴しているように感じましたが、どのようなものから影響を受けていますか?

特定のバンドというよりは、ある情緒だったり、感情だったりを想起させるもの。寂しくて、エネルギーがあって、そして底抜けに楽しいもの。音楽のリファレンス用にプレイリストも作りましたし、大量にイメージ写真や画像を集めてビジュアルのムードボードの様なものも作りました。一つのアーティストに絞られず、もっと感覚的なものを中心に据えたかった。

アーティストのリファレンスでいったら沢山ありましたね。DYGLとしてはあえて封印してきた様な情緒を、一つ一つ解放していった。Blink-182 や、Relient K、Sum 41、Ashley Simpson に Hilary Duff 考えるだけでウケますよね 笑

でもこの感覚が楽しくて、そして目に見えない感覚自体に格好いいとか悪いとかはないと思ったので、それを自分たちの音で表現すればオッケーなんじゃないかなと。最近だと beabadoobee や harry teardrop、clairo などああいう 90~00s にあった雑多な感じ、オルタナだったり、サイバー味のあるストリートな感じだったり、そういうクロスオーバー感を更新しているアーティストも増えていて。

90年代以降、それ以前の所謂 「ロック」的なものを大きく更新する自由なエネルギーからは 今回かなり影響を受けました。その時代感にオマージュを捧げる上で、アルバムのジャケに架空の CD Player を採用しました。

ーー 3枚のアルバムの中で、バンドとして、またソングライターとして、どのような変化や成長があったと感じていますか?

それぞれの成長があったと思います。ファーストはそれまでの集大成という感じで、セカンドは音楽家としてようやく意識的に自分たちの作りたいサウンドや音世界を理解しようと試みた。

そしてサードは自分たちの出来ることや知っていることはただのツールと捉えて、もう一度自分たちの感じるままの感覚に立ち戻ろうとした。出来ることは増えてるかもしれませんが、新しい曲が前の曲と比較して良いとか悪いってやっぱり言えないですね。

いつもその時しか書けなかった曲ばかりで。成長に成長を重ねて出来ることが増えて、持ってる機材も豪華になって自由な時間を山ほど与えられても、最後まで若い頃に書いた曲を超えられない人もいる。

僕たちもどうなるかわかりませんが、色々とわかってたはずのことを頭だけじゃなく心でもわかる様になってきた事は大きいですね。考えるよりもやってみる方が早かったということでしょうか。

音楽性は変わるかもしれませんが、芯は変わらないでいたい。自分の感覚に正直でいると、少なくとも自分に必要なものは与えられるんだなという気がします。人との出会いも含め。改めてそう思えること自体が、変化や成長な気がします。

ーー コロナ禍、アルバムの制作中に気に入って聴いていたバンドやアルバムがあれば教えて下さい。

(私事で恐縮ですが、新しいアルバムでは、Small Black『Cheap Dreams』、Bruno Pernadas『Private Reasons』、Wolf Alice『Blue Weekend』、King Gizzard & The Lizard Wizard『Butterfly 3000』のアルバムが良かったです。)

おすすめアルバム嬉しいです!インタビュアーさんの個性の見えるインタビューが僕達も好きです。アルバムでは Joji の ‘BALLADS 1’ を1番聞いていました。

アーティストだと Soccer Mommy、Beabadoobee、Juice WRLD、XXX Tentation あたりも。最近は Garbage の ‘Garbage’ を聴いています。

ーー イレギュラー質問になりますが、夏休みも近いということで「この夏に読むべき本」があれば5冊くらい教えて下さい。

ー こちらの選書コーナーは、ビル・ゲイツが例年夏に発表している「この夏に読むべき本5冊」を参考に、更に遡ると、かつて WIRED が2011年に行なっていた『WIRED大学 新・教養学部必読書』のようなコーナーを設けました。当時この WIRED の選書で、アルビン・トフラーの『富の未来』に辿り着き、衝撃を受けました。これを機会に世界感が大きく広がったのを覚えています。本というのは音楽と同じように、その人のスタイルや思考を形作ります。下記の選書を手掛かりに、是非あなたに合った本を探してみて下さい。 ー

(indienative 選書5冊、特に若い人に向けて選んでみました)

・『シャンタラム(上) (中) (下)』 グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ

文庫で1冊600ページ以上ある、かなり壮大なストーリーです。上、中、下 合わせると合計1,800ページぐらいあり、夏休みじゃ読みきれないかもしれません。養老さんがこの本のレビューで、「生きていない日本人」と痛烈なメッセージを投げかけていました。この本を読み進めていくと、鈍器で頭をぶん殴られたような衝撃を覚えます。それは私たちが忘れかけていた “生きること” の真実を物語っています。

・『人生の短さについて』 セネカ

古典の入門にどうでしょうか。これを若い頃に読んだ人と読んでない人では、その後の人生が変わるかもしれません。それくらいのインパクトがあります。スッタニパータの言葉を借りるなら、犀の角のようにただ独り歩め。

・『複雑で単純な世界: 不確実なできごとを複雑系で予測する』 ニール・ジョンソン

複雑系科学の入門におすすめです。市場、情報ネットワーク、渋滞・物流、テロ・戦争、恋愛、癌・感染症、自然現象、菌類から都市、音楽から宇宙までを、複雑系科学で読み解きます。

・『暇と退屈の倫理学』 國分 功一郎

哲学の入門書におすすめです。この本では、ハイディカー、ユクスキュル、ドゥルーズ、スピノザなどの哲学者が提唱した概念や哲学を参照しながら、本題についての解を導きだします。まだ “哲学” に出会ったことがない人は是非この本で出会って下さい。

・『日本人というリスク』 橘玲

橘さんの書籍といえばフリーランス、個人事業主のバイブルです。かつて瀧本哲史さんが、武器という名の本を学生に配っていたように、橘さんの本は名も無き個人に有効です。この本には、伽藍の世界を捨ててバザールへと向かう旅の方法が書かれています。日本は伽藍の世界で、そこでは “世間” が生み出す空気が人々の行動を支配しています。日本人はずっとこの窮屈な世界を憎んできましたが、秩序や安全や感謝や礼儀正はといった日本人の美質はすべてこの世界が生み出したものです …

(indinative 選書、ここまで)

オススメの本リスト、ありがとうございます!メンバーとも共有します。最後に僕らからのオススメ本は、リードギターの下中がリストを作ってくれました。是非チェックしてみてください。インタビューありがとうございました!

(DYGL下中さん 選書の5冊)

・囚人のジレンマ / リチャードパワーズ

個人はどこまでこの社会において影響を持つのか。小さな個人の思いが積み重なって形成される大きな社会で、他者を矛盾なく思いやり、共生していくことは果たして可能なのか。家族の編んだ歴史が生み出した、その家族だけにしかわからない共通言語。ちょくちょく失神するし、テープレコーダーに謎のお話を吹き込みまくることが趣味のお父さんは絶対に病気なのに病院だけは頑なに行かない。家族みんなお父さんが心配だけど、お互いが気になってなかなかストレートには言い出せない。でも、とても美しいお話ですよ。

ホワイトノイズ / ドンデリーロ

和訳はめちゃくちゃ高いです。夏は長いのでこの機会に頑張って手に入りやすい英文で読むのも有りかも。ヒトラー、大衆、環境汚染、TV、スーパーマーケット、死の恐怖を打ち消す薬、家族。この本の1つの大きなテーマはずばり”死”だといえるでしょう。メディアはどのように死を扱い、世の中はどのように享受して消費をするのか。読んだ後は変なスイッチが入って、テレビを見たり、スーパーマーケットに行ったり、観光地に行くのがより楽しくなりました。

サリンジャー戦記 / 村上春樹、柴田元幸

僕は「ライ麦畑でつかまえて」がすごく好きなんですけど(最近読んだらやっぱり今と価値観違うなぁって点も多々あったし、全肯定は難しいということを認めつつ)、あれを読むとホールデンにイライラする人もいる。それはそれですごくわかるのですが、今一度、もう一歩踏み込んでホールデンとサリンジャーの痛々しい程の優しさとそれ故の苦しさに目を向けてみることもいいんじゃないですか、と常日頃思っております。

ナショナル・ストーリー・プロジェクト / P・オースター編

アメリカの実話をポールオースターがNPRでホストを務めた番組で募集し、ポールオースター自身が心揺さぶられたお話を選んでまとめた本。企画自体がワクワクなので本棚にあるだけでも楽しい。長い本の箸休めにもなり、とんとん読めます。

日はまた昇る / ヘミングウェイ

夏の読書を考えた時、何故だかスペインでお酒を飲むヘミングウェイが思い浮かびました。ロストジェネレーションといわれる世代の本が描く虚無感が好きです。この「陽はまた昇る」というタイトルはポジティブな意味ではなく、むしろ、明日もまた同じ陽が昇るだけのことだ、といった未来への希望の無さが込められているように思えます。虚無は享楽で埋めてしまえと言わんばかりの自由っぷりを本で味わうのもいいものです。あと、ハードボイルドという言葉はこの本の一節からきているらしい。極端な程淡々とした語り口から読み取ることのできる登場人物の仔細な心の動きが、まるでこちらの感受性を試しているかのようで、ヘミングウェイはハマると読んでいて飽きがきません。

(下中さん 選書、ここまで)

DYGL の皆さん、最後までメールインタビューにお答え頂きありがとうございました。このインタビューのために少しだけ早くアルバムを共有頂きました。丁度その頃 beabadoobee、Summer Salt、The Lazy Eyes などを聞いていたのですが、DYGL のサウンドは海外のアーティストと同時進行だと確信しました。DYGL は Long です。

全国19ヶ所を巡る<A Daze In A Haze Tour>開催!

Oct 1 静岡・浜松 窓枠
Oct 2 京都・京都 磔磔
Oct 3 兵庫・神戸 VARIT.
Oct 5 愛媛・松山 サロンキティ
Oct 6 香川・高松 DIME
Oct 7 熊本・熊本 NAVARO
Oct 9 福岡・福岡 BEAT STATION
Oct 10 岡山・岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
Oct 11 広島・広島 広島クラブクアトロ
Oct 17 長野・松本 ALECX
Oct 19 石川・金沢 GOLD CREEK
Oct 20 新潟・新潟 GOLDEN PIGS – RED
Oct 22 福島・郡山 HIPSHOT
Oct 23 岩手・盛岡 the five morioka
Oct 25 宮城・仙台 Rensa
Oct 30 北海道・札幌 SPiCE
Nov 2 大阪・大阪 BIGCAT
Nov 4 愛知・名古屋 名古屋クラブクアトロ
Nov 5 東京・東京 USEN STUDIO COAST

■チケット情報
第2次オフィシャル先行予約:~7月18日(日)18:00
https://eplus.jp/dygl21-official/
一般発売:7月31日(土)~