UKのエレクトロ・バンド Hot Chip が、9枚目のスタジオアルバム『A Long Way From Kansas』を来年 Domino から 1/8 リリース!先行シングル「Random Violence」のミュージックビデオを公開しました。本作では、バンドの最も原始的で本能的な一面が表現されている。アルバムタイトルは、映画『オズの魔法使い』を引用したもの。ドロシーと愛犬が故郷へ帰り、いつもの日常を取り戻すために旅した長い道のりを暗示している。
ファーストシングル「Random Violence」のMV公開!
アルバムからのファーストシングルとして公開されたのは、「Random Violence」。この曲は、スコットランド・グラスゴーを拠点に活動したDJデュオ、OptimoのKeith McIvorに捧げられた壮大なトリビュートであり、アルバム全体の方向性を示す作品となっている。JD Twitch の名でも知られる Keith は、熱心な社会主義者であり、DJ、キュレーター、そして英国でも屈指の先進的なプロモーターだった。彼は共に仕事をした人々や、自身のプレイを聴きに来た人々に、ポジティブなエネルギーの力を伝えてきた人物だ。その影響は、Al Doyle がこの曲について語る「人と人とのつながり」にも反映されている。Joe Goddard は次のように語っている。
昨年9月、僕たちの古い友人であり、素晴らしいDJだったグラスゴーの Optimo の Keith McIvor が亡くなった。数か月前に手術不可能な脳腫瘍と診断されていたんだ。彼の存在が、この曲の歌詞に大きなインスピレーションを与えてくれた。彼は音楽を心から愛し、社会主義の理念を強く信じていた。歌詞の多くは、彼の死や、20年前に僕たちが出会ったグラスゴーの Sub Club での思い出に直接結びついているんだ。
「Random Violence」で Goddard は、友人たちが彼の生涯を語り継ぎ、世界へ音楽を送り届け続けた男の姿を歌う。そして Alexis Taylor が加わり、「君は僕に信じられるものを与えてくれた」と歌い上げる。Jack Cole が監督を務めた「Random Violence」のミュージックビデオには、女性だけで構成されるプログレッシブなモリスダンス・グループ、Boss Morris が出演。連帯、音楽、抵抗、愛、そして充実した人生を美しく祝福する作品に仕上がっている。「彼らを通してはならない」という抵抗の精神も込められている。Al Doyle はミュージックビデオについて、次のようにコメントしている。
人間らしさ、追悼、そして抵抗を祝うために、森の精霊や呪われた動物、狂ったように踊るダンサーたちを招いたんだ。アイデアの原点になったのは、僕たちが Sub Club で体験した Optimo のハロウィン・パーティー『Espookio』。あのときの感覚を映像に収めたかった。映像から伝わってくるとおり、本当に楽しい撮影だったよ。最高に盛り上がったんだ。
ニューアルバム『A Long Way From Kansas』について
世界はますます速く回転し、その物語を読み解くことは一段と難しくなっている。死、理由なき戦争、季節を焼き尽くす気候危機。そんな暗い現実に反応し、歪みや崩壊を通じてその姿を映し出しながらも、Hot Chip のニューアルバム『A Long Way From Kansas』は、周囲のあらゆるものが燃え上がるなかで、独自の方法で生を祝福しようとする作品だ。
先見性に富んだエレクトロニック・バンド、Hot Chip が結成されたのは2000年。メンバーそれぞれが、新しいミレニアムの幕開けがもたらす希望と高揚感に包まれていた時代だった。その後の日々、数か月、そして数年の間に、Alexis Taylor、Joe Goddard、Owen Clarke、Al Doyle、Felix Martin の5人は、愛と調和を音楽へと昇華させてきた。こうして生み出された8枚のアルバムは、知性、感情、そして身体を踊らせる喜びを融合させた、一つの大きな軌跡となった。
しかし今年初め、ニューアルバム『A Long Way From Kansas』のレコーディングのため、ロンドン東部にある Joe と Al のスタジオ「Relax and Enjoy」に集まった彼らは、世界で次々と起きている出来事や、頭から離れない数々の問いに、正面から向き合わなければならないと感じていた。Alexis Taylor は語る。
『A Long Way From Kansas』には、僕たちが暮らしている世界、つまりこのアルバムを制作していた世界が、とりわけ過酷で、不協和音に満ち、暴力的で、憂鬱な場所になっているという感覚が反映されている。
もちろん、そういったことは今に始まったわけではないのかもしれない。だからといって、すべての曲が世界情勢や政治、ジェノサイドについて歌っているというわけでもない。でも、音楽を作っている間、それらはどうしても無視できない背景として存在していたんだ。
『歪み(Distortion)』という言葉は、アルバム全体を象徴するキーワードのようになっていった。
『A Long Way From Kansas』では、音の粒が鋭く切り裂くように響き、ループ同士が激しく衝突し、ボーカルはあえて未解決の余韻を残していく。それぞれの楽曲が独自の変異を遂げながら、予測不能な方向へと展開していく。そんな荒々しさと歪みに満ちたサウンドのなかに、Beth Ditto と Eddie Chacon がゲストとして参加。唯一無二の歌声によって、アルバムに輝かしくソウルフルな光をもたらしている。Alexis はさらにこう説明する。
僕と Joe だけでなく、Owen と Felix も歌っているんだ。Felix が Hot Chip のレコードで歌うのは今回が初めてだよ。さらに合唱団も参加しているし、みんなで歌うパートもたくさんある。僕たちは、自分たちの内面的な世界を外へと開き、さまざまな声を一つに集めることが好きなんだと思う。
こうした多彩な歌声が重なり合うことで、Hot Chip らしさを凝縮したアルバムが生まれた。外の世界がどれほど悲惨な状況にあっても、やはり我が家に勝る場所はない。そんなことを、ちょうど必要なタイミングで聴き手に思い出させてくれる、明るい光のような作品だ。
その「家」とは、ダンスフロアで同じ感性を持つ仲間たちに囲まれる場所かもしれないし、自宅のリビングでカーテンを閉め、静かに過ごす空間かもしれない。
ムードはダークでありながら、サウンドは恍惚とした高揚感に満ちている。これまで以上に風変わりで、ノイジーで、奇妙で、そして素晴らしい。『A Long Way From Kansas』は、Hot Chip が故郷へ帰る道をちゃんと知っていることを証明するアルバムだ。また、過去にはロンドンの Brixton Academy で4日間連続公演をソールドアウトさせるなど、ライブでも高い評価を得てきた Hot Chip は、来年のUK・ヨーロッパツアーを発表。3月12日にはロンドンの Exhibition White City で公演を行うことも決定している。













