シカゴを拠点に活動するバンド Lifeguard のメンバー Kai Slater (カイ・スレイター) によるソロ名義、Sharp Pins がニューアルバム『Balloon Balloon Balloon』を K Records から 11/21 リリース!ニューシングル「Queen Of Globes And Mirrors」のミュージックビデオを公開しました。『Balloon Balloon Balloon』に、もう一度恋をしよう。–“服従”。Kai Slater 率いる Sharp Pins の圧倒的ポップ惑星に身を委ねるとき、まず頭に浮かぶ言葉だ。この宇宙は、服従してこそ動き出す。愛に服従し、ロックに服従する。ギターを手にした若者が、その力で完璧なギターポップを作り上げ、彼自身が憧れの偶像たちの殿堂に加わる――それがこのアルバムだ。
セカンドシングル「I Don’t Have The Heart」のMV公開!
もちろん、最初は腹が立つのも無理はない。かつて誰もが、Big Star がビートルズに近づきすぎたと怒った。今度は Sharp Pins が同じことをし、さらに Guided by Voices を混ぜ合わせたのだから。なんてことだ。傲慢にもほどがある。20歳そこそこの若者が、ロバート・ポラード本人を超えようなどと思うとは。「Queen of Globes and Mirrors」だって?罪深い。しかもさらに罪深いのは、その楽曲たちがあまりに時代を超越していて、まるで失われたビートルズのテープから盗まれたかのように思えてしまうことだ。「I Don’t Have the Heart」も「(I Want to) Be Your Girl」も、いつ、どこで作られたのか分からなくなるほどだ。
だが、『Balloon ×3』が教えてくれるのは、これができるのはカイだけだということ。12弦ギターとポップへの飽くなき執念を武器に、スレイターはポラードやチルトンだけでなく、バーズ、テンプテーションズ、フォー・トップス――愛を音に刻もうとしたすべてのアーティストの系譜を引き継ぐ。彼は「許可を求めるより、まず許しを請う」精神で大胆に引用し、その結果として私たちは彼を赦さざるを得ない。なぜなら、彼がロックンロールの宝石を現代に蘇らせ、過去から未来へと滑らかで誠実なメロディで橋をかけ、ジャンルを再び輝かせてくれたからだ。
そしてスレイターが加えるのは、まぎれもなく彼自身の要素だ。たとえ引用が多くても、彼の作曲感覚は唯一無二。アルバムの終盤には、最初に抱いた怒りや戸惑いが静かに溶け、こう認めるしかなくなる――「ああ、Sharp Pins は本当にすごい」と。過剰さのないLP全体に散りばめられた小さなポップの宝石たちは、あまりにもシンプルで馬鹿みたいに良くて、聴く者に “別の世界” の可能性を思い出させる。
それは単に “耳に残る” というだけではない。スレイター自身の「完璧なポップソング」への献身が、人生にもう一度形と色を与えてくれると信じさせるのだ。
“Fall in Love Again(もう一度恋をしよう)”――それは提案ではなく、命令だ。アルバムの中に登場する美しい少女たちとだけでなく、この世界そのものと再び恋に落ちるための。そうしてこそ、20歳のスレイター自身が夢見る未来へと歩めるのかもしれない。だがそれまでは、彼がロックンロールとその周囲の世界に宛てたラブレターが、私たちのそばに寄り添ってくれる。













