Iron & Wine、8作目のアルバム『Hen's Teeth』を 2/27 リリース!

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フロリダ生まれのシンガーソングライター Sam Beam によるソロ・プロジェクト Iron & Wine、ニューアルバム『Hen’s Teeth』を Sub Pop から 2/27 リリース!ニューシングル「In Your Ocean」のミュージックビデオを公開しました。「ずっとこのタイトルを使いたかったんです」と、Sam Beam は語る。『Hen’s Teeth』は彼にとって8作目のフル・アルバムであり、Sub Pop からのリリースとしては6作目にあたる。

とにかくこの言葉が好きで。僕にとって “Hen’s teeth(雌鶏の歯)” は “不可能” を意味するんです。雌鶏に歯はありませんからね。そしてこの作品は、まさにそんな感覚だった。あってはならない贈り物なのに、確かにそこにある。不可能なものなのに、現実なんです。

『Hen’s Teeth』と前作『Light Verse』は、いわば兄弟のような関係にある。長いスランプを経たのち、同じバンド、同じローレル・キャニオンの Waystation スタジオで、同じセッションの中から生まれた作品だからだ。

自分が書くモードに入っていて、バンドがその地点まで一緒に来てくれると、彼らは想像もしなかった方向へ僕を押し出してくれる。今の僕にとっては、即興性がこれまで以上に大切なんです。昔ほど証明しなきゃいけないものもない。ずっと自由になったし、音楽を作ることがかつてないほど好きになった。正解も不正解もない。ただ幸運を祈って、ベストを尽くすだけなんです。

I’m With Her をフィーチャーした先行シングル「Robin’s Egg」を公開!

このときは、その祈りが届き、運も強く味方した。ミュージシャンたちは驚くほど早く一体化し、互いに刺激し合い、数テイクで曲が録れることも多かった。日に2〜3曲仕上がることもあったほどだ。そのため、この2枚のアルバムは「二卵性双生児」と考えることができる。DNAを共有し、互いを補完し合いながらも、それぞれに異なる個性を持ち、共通点と同じくらい相違点によって定義されている。

『Light Verse』(2024)は、言葉遊びやユーモア、ナンセンスを多用する詩の形式からタイトルが取られている。ジャケットには、シルエットの人物たちがシアノタイプの空を漂う、あるいは落下する姿が描かれている。甘く、軽やかで、印象派的なアルバムで、ときには抽象表現にまで踏み込み、コロナ禍の重苦しさを力強く振り払う作品だ。多くの楽曲タイトルも、不確実さの中に希望を示唆する感情や考えに由来している──「You Never Know」「All in Good Time」(Fiona Appleとの美しいデュエット)、「Cutting It Close」「Taken by Surprise」。

一方、『Hen’s Teeth』の世界は、『Light Verse』よりもずっと土臭く、暗く、力強く、触感的だ。曲名も「Roses」「Robin’s Egg」「Dates and Dead People」「Singing Saw」といった具合である。アルバム冒頭曲「Roses」で Beam はこう歌う。「永遠に愛する人にぶつかっていく/互いの空っぽの口に向かって笑う」。恋人たちが深く絡み合い、肉体的に溶け合うように描かれる楽曲は他にもある。「Paper and Stone」では、「二人に分かれてしまうその時までは/君は僕で、僕は君だった/ひと切れのパンを二人で分け合えた/君が息を吸って、僕がそれを吐き出した」と回想される。「In Your Ocean」では、「乾いた地面を祈りながら/でも本当は溺れたい/君の海を泳いでいるときは」と歌われる。

ジャケットには、豊かに茂るシダや熱帯植物に囲まれた Beam の肖像が描かれている。ピンストライプのジャケットをまとい、巨大なブドウの房を抱え、豊かなひげを胸元までたらしている姿は、土地の収穫神のようでもあり、ジャングルの洞窟に潜む紳士的な無法者のようでもある。彼の目を覆う白い羽根は、盲目を示すものではなく、むしろ詩的に「芸術家のヴィジョンが飛び立つ」ことを可視化しているかのようだ。全体は湿り気を帯びた不気味な赤に包まれ、Leonora Carrington と Frida Kahlo の中間にあるような世界観を持つ。『Light Verse』の冷たい青白い色調との対比は、これ以上ないほど鮮烈だ。

今回は、形式よりもジャンルに関する実験が多かった。ここ数年、よく立ち返っていたのが Van Morrison の『Astral Weeks』で、ジャズ・ミュージシャンがフォークを演奏し、フォーク・ミュージシャンとは違う方向に花開いていく、あの感じです。『Singing Saw』は Doc Boggs と Simon & Garfunkel が一緒にやったらこんな曲になるんじゃないか、という感覚がある。『Roses』や『In Your Ocean』はストレートなフォーク・ロックだけど、終盤で黙示録的な展開になる。『Dates and Dead People』や『Defiance, Ohio』はトロピカリアから多くを借りていて、あれも僕の大好きな音楽。ジャズとそれほど違うとも思っていない。これらの要素はずっとロックの中にあったものだから。

参加ミュージシャンは、ギターに David Garza、ベースに Sebastian Steinberg、キーボードに Tyler Chester。ドラムは Griffin Goldsmith、Beth Goodfellow、Kyle Crane が担当し、Paul Cartwright はヴァイオリンやマンドリンなどを演奏、両アルバムのストリングス・アレンジも手がけている。インディ・カントリー・トリオ I’m With Her は、快活なリード・シングル「Robin’s Egg」と、優しく哀愁を帯びた「Wait Up」に参加している。「デュエットに取り憑かれているんです」と Beam は言う。

Jesca Hoop と『Love Letter to Fire』をやって以来ずっと。形式そのものが大好きなんです。もともとドラマ性があるし、とにかく楽しい。I’m With Her を思い浮かべながら、これらの曲を仕上げました。

Beam の娘である Arden Beam も、「Roses」「Singing Saw」「Defiance, Ohio」「Grace Notes」でハーモニーやコーラスを担当している。彼女の参加は、『Hen’s Teeth』に個人的な切実さと、素晴らしい音の質感を与えている。彼のデビュー作『The Creek Drank the Cradle』(2002)のリリース2か月前に生まれた彼女は、現在23歳。自身もミュージシャンで、Beam の作品に参加した初めての子どもとなった。

家族的な関わり方になってきて、ワクワクします。Iron & Wine のレコードを作るのも好きだけど、コラボレーションはもっと好き。たくさんの友人たちと関わり、たった3つのコードに、音楽的にも感情的にもどれほど多くのものを持ち込めるのかに圧倒される。一日中、愛する人たちと演奏できて、彼らはその見返りに、いちばん無防備で表現豊かな自分を差し出してくれる。こんなに奇妙で、最高の仕事はないよ。

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