オーストラリアの Hatchie、サードアルバム『Liquorice』を 11/7 リリース!

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オーストラリアのインディーポップ・アーティスト Hatchie、サードアルバム『Liquorice』を Secretly Canadian から 11/7 リリース!先行シングル「Lose It Again」のミュージックビデオを公開しました。ジャケットには、笑顔の Hatchie こと Harriette Pilbeam (ハリエット・ピルビーム) をクローズアップで捉えた写真が使われ、にじんだ赤い口紅は、キスの余韻のような高揚を示唆している。裏庭で思い立って行った撮影を、小さなデジタルカメラで収めた一枚で、未加工のざらつきと“ほどけた”喜びに満ちた本作の気分――切望、欲望、後悔――を凝縮している。

ピルビームが『Liquorice』の本格的なソングライティングに取り組み始めたのは、2022〜2023年にブリスベンで暮らしていた頃。のちにメルボルンでアギウスと同居する家でも書き進め、デモは最終的に2024年半ばに完成した。これまで明確な影響源を前面に出してきた彼女だが、今作では特定の参照点を持たずゼロから書くことに注力。アイデアを急がず、曲が数週間かけて“息をする”のを許したという。初期曲のメロディのシンプルさに改めて惹かれ、音楽的な不安や限界も受け入れた――「自分の制約を、私のスタイルを形作る強みとして見たかった」と語る。

前作『Giving the World Away』では Jorge Elbrecht(Caroline Polachek、Japanese Breakfast、Sky Ferreira)や Dan Nigro(Olivia Rodrigo、Chappell Roan)と組んだが、今作は単独の共同制作者――できれば男性ではないうえに自身のプロジェクトでもフロントを務めるプロデューサー――で仕上げたいと考えた。2024年9月、ピルビームとアギウスはロサンゼルスに戻り、Jay Som 名義でインディ・ロックを発表しつつ、boygenius のグラミー受賞作『the record』など多数の作品でプロデュース歴を持つ Melina Duterte と制作を行った。

前作はとてもダークで内省的になりました。それも私の一面ですが、表現しきれていない側面が他にもたくさんあると感じていたんです」とピルビーム。「私はどうしようもないロマンチストで、ときどき困るくらいお調子者でもある」。32歳で結婚した今、若い頃の経験を振り返るうちに、終わりなき感情――憧れや心の痛み――が一気に戻ってきたという。同時に、必ずしもハッピーエンドに至らない “悲恋” 映画への愛着も作品に注いだ。

『Liquorice』の関心は、有限でありながら永遠でもある感情に向けられている。たとえ恋のすべてが魔法のような一夜で終わるとしても、心酔がもたらす圧倒と昂揚、変容の副作用をこれらの曲は掬い取る。タイトルにもなったねじれたリコリス菓子の豊かな風味――甘さ、塩気、苦味がひと口に同居する――のように、『Liquorice』は若い女性が自分を見つけていく過程で、憧れと執着がいかに絡み合うかを肯定してみせる。

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