Frank Carter (フランク・カーター) をフロントマンに迎えた Sex Pistols (セックス・ピストルズ) は、オリジナルのパンクと未来のパンクを繋ぐ存在となった。このライブで、パンクの歴史に新たな1ページが刻まれたことは間違いない。自らの音楽ジャンルとこれほどまでに切り離せないバンドが他にあるだろうか？

セックス・ピストルズは、その音楽性から荒れた歴史（時に悲劇的でもある）、そしてスタイルに至るまで、1970年代のイギリスで誕生したカウンターカルチャー・ムーブメント「パンク」の真髄を体現するロンドン出身のバンドだ。いまやモヒカンのトサカ頭や安全ピンをリュックにぶら下げた若者の姿を見かけるのは当たり前になったが、当時ジョニー・ロットン率いるこのバンドは、ドクターマーチンのブーツを履き、政治や文化のエスタブリッシュメントに容赦なく噛みついていた。

その後、ドクターマーチンは世界中の “おしゃれ” な富裕層の定番となり、ジョニー・ロットンはバターのCMに出演するようになったものの、スティーヴ・ジョーンズ、ポール・クック、グレン・マトロックといったバンド創設メンバーたちの中には、今なおパンクの精神が息づいている。

そしてその精神は、新世代へと受け継がれた。そのひとりがフランク・カーターだ。彼は「Rattlesnakes (ラトルスネイクス)」で名を上げ、今回、憧れのバンドのマイクを握った。このライブは、世代の隔たりを超えた共鳴であり、そしてこの言葉を改めて証明した――「Punk is not dead！」

このライブは、2025年6月20日（金）にフランス・クリッソンで開催された Hellfest Open Air Festival にて撮影されたものです。