NYのファミコン・バンド Anamanaguchi、ニューアルバム『Anyway』を 8/8 リリース!

2025.05.06

NYブルックリンのファミコン・バンド Anamanaguchi、制作・録音・ミックスに Dave Fridmann を迎えたニューアルバム『Anyway』を Polyvinyl から 8/8 リリース!先行シングル「Darcie」のミュージックビデオを公開しました。昨年の夏、何年もアメリカの別々の場所に住んでいた Anamanaguchi の4人のメンバーが、新たな試みをすることにしました。彼らのレーベルである Polyvinyl が、有名な American Football の家が取り壊されるのを防いだことをきっかけに、バンドはそこに住み込み、一緒に曲作りをする機会を得たのです。

1か月にわたって、超メロディアスな8ビット・ロックの先駆者であり、バーチャルポップスターとの共演でチャートを席巻した彼らは、これまでの緻密なデジタル制作プロセスを覆すようなアナログ的アプローチに挑みました。こうして誕生したのが、新作『Anyway』です。リビングを改装した練習スペースで生まれたこのアルバムは、Anamanaguchi 史上最もパーソナルな作品となりました。そして、まさに時代を超えるロックアルバムでもあります。

普通の家からクレイジーな音が生まれるものだよ。今回は、ネット上でファイルを編集し合うのではなく、ほぼすべての作業を物理的に同じ空間で行い、グループ全員で曲を書いたんだ。

と、ボーカル/ギターのピーター・バークマンが語る。彼らはこのデモを、グラミー賞受賞ロックプロデューサーのデイブ・フリッドマン(The Flaming Lips、MGMT、Sleater-Kinney など)に持ち込みました。彼の “昔ながら” の手法によって、バンドの姿勢も大きく変わります。ニューヨーク州西部にあるフリッドマン家の居心地の良い Tarbox Road Studios で、彼らは再び同じ屋根の下で暮らしながら、アルバムをテープに直接録音。全員が楽器を演奏し、歌うという一体感のある制作になりました。

フリッドマンはライブ録音と即興的なパフォーマンスを推奨し、ドラマーのルーク・サイラスによるエネルギッシュなドラムが全体を牽引しました。1960年代後半のマーシャル製ギターキャビネットスピーカーなど、ヴィンテージ機材を探し回って見つけたギアによって、バークマンとギター/ボーカルのアリー・ワーナーの音に個性が加わります。このスピーカーはかつてジミ・ヘンドリックスやヴァン・ヘイレン、ニルヴァーナ、ウィーザーの録音にも使われたものでした。

今回は “最初の一発で完璧に仕上げる” という前提でやっていた」とバークマンは言います。「元に戻すボタンはなかったし、別バージョンもなかった。決断は “後” ではなく、“前” に下す必要があったんだ。」と語るのはベース/ボーカルのジェームズ・デヴィート。

当初、彼らはアルバム全体を “怒り” というテーマで構成しようとしていました。社会に満ちる様々な苛立ちを反映させようとしたのです。しかし、制作中に彼らは“楽しい時間を共に過ごす”という原点に立ち返り、『Anyway』はむしろ創作的にも個人的にも活力に満ちた作品となりました。バンドとして歌うという決断は、“自分たちの声とは何か?”という根源的な問いと向き合うことにもつながります。この新たに得た“声”を全曲で探求し、彼らの音楽はこれまでで最も感情豊かなものとなりました。

前作『[USA]』は、声が形作られ、話し始めるプロセスについてのアルバムだった。人工的な “声” の物語だったんだ。『Anyway』はその次のステップで、バンドの “本当の声” を見つける旅なんだ。

“今やらなきゃ、いつやるんだ” というような、ある種の“開き直り”の精神がある。失うことは人生の一部で、誰も逃れられない。フィル・オクスの「When I’m Gone」って曲にあるんだ。”僕が死んだらこの歌はもう歌えない。だから今やるしかない” って。僕たちは、好きなこと──音楽を一緒に作って演奏して歌うこと──を思いっきりやっているんだ。

『Anyway』には、怒り、愛、ユーモア、被害妄想、そして悲しみが詰まっていますが、それでも彼らの明るさと遊び心がしっかりと感じられます。「Rage (Kitchen Sink)」では、デジタル時代の二大 “疫病” とも言える孤独と退屈をテーマにし、「Magnet」では、2人の間に起こる不思議な引力を表現しながら、轟音のトラックと繊細な歌詞のコントラストでその感情を引き立てています。「Darcie」は、ごく普通の街の“無名のヒーロー”から受けた小さな優しさにインスピレーションを受けたパワーポップ・バラードです。「Buckwild」は、バンドが新しい挑戦をしながら、そのリスクも受け入れていく“出発点”としての意味を持つロック・ソングです。

Anamanaguchi は2000年代半ばにニューヨークで結成され、チップチューンに感情的エネルギーを融合させた実験的なサウンドで名を上げました。任天堂のカートリッジで実際に再生できる音楽をプログラミングし、ゲーム『スコット・ピルグリム VS. ザ・ワールド』の音楽も手掛け、クラウドファンディングで大成功を収めたデビュー作『Endless Fantasy』も話題になりました。さらに、独自のゲーム『Capsule Silence XXIV』の開発や、初音ミクのホログラム・ツアーでの共演(「Miku」は初音ミクの英語楽曲として最大のヒットとなり、Epic Gamesの『Fortnite』でも使用)など、常に革新の先頭を走ってきました。ピザを宇宙に打ち上げたこともあります。

Polyvinyl からのデビュー作となったセカンドアルバム『[USA]』は、ノスタルジックなファンタジーから、デジタルアイデンティティという内省的なテーマへの文化的転換を先取りしていました。Pitchforkが“最も感情的に地に足のついた作品”と評した『[USA]』は、今作『Anyway』の率直さと正直さの基盤となっています。『[USA]』がオンラインの世界を描いたのに対し、『Anyway』は玄関の外、現実の世界へと一歩踏み出す作品です。

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