STARCRAWLER、再び降臨!血吐き身体舞う初日東京公演のライブレポートが到着!

2019.12.05

STARCRAWLER

 フジロック2018で繰り広げた狂乱のパフォーマンスを経て、昨年3月以来となる STARCRAWLER (スタークローラー) の単独再来日ツアーが実現。初日は12月4日にリキッドルームにて行なわれた。

STARCRAWLER

 客電が落ちると、まず最初に舞台上へ姿を表したドラマーのオースティン・スミスが、出囃子に流されたミッキーマウス・マーチをブッた斬るかのように、ズドドドとタイトなビートを叩き出す。そこへすかさずティム・フランコがブッといベースをのせ、ぐいぐい曲を加速させる。フジロックで見た際は、アロウ・デ・ワイルドに意識を持っていかれすぎたせいか(?)気づけずにいたのだが、この2人はかなりパワフルなリズム隊だと今さらのように認識した。

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 続いて、白地に真紅の薔薇をあしらったジャケット(それを脱ぐと胸元にヒラヒラのついた赤シャツ)を着た、ギタリストのヘンリー・キャッシュが登場。最新作『Devour You』のジャケット・アートを意識したのか、ズボンもギター・ストラップも薔薇づくしの、そうとうカブいた出で立ちでキメている。そして最後にもちろん、シンガーのアロウ・デ・ワイルド。単に高身長なだけでなく、すらりと伸びた長すぎる手足は、広大なフジのステージでも十分に映えていたが、こうしてライヴハウスで見るとあらためて凄い迫力。おそらく大して底の厚い靴は履いていないだろうに、1人だけ台の上に立っているのかと錯覚するくらい、明らかに腰の位置が高い。もう、両手を広げてゆらゆらさせるだけで、なんだかとんでもなくカッコいいし、お尻をカクカク振ってみせる仕草も、セクシーというより「神々しい」域に達している。ブリッジなんかされた時には、フォルムが美しすぎて思わず拝みたくなるほどだ。

STARCRAWLER

 そんなメンバーによってバリバリと鳴らされるのは、ストレートすぎるほどのロックンロール。ただ、10月にリリースされたばかりのセカンド・アルバムで、いちだんと楽曲が練れてきたことも反映し、シンプルながらフックの効いたリフやメロディで飽きさせない。見かけ上のファースト・インパクトが、まだまだ武器になってはいるが、次第に前提となりつつある段階を迎えたのと同時に、音楽面での実力が伝わってくるようになった気がする。中盤で早くも演奏された前作からのシングル「I Love LA」をはじめ、レコードのヴァージョンだと少し軽く感じるポップなナンバーも、ライヴでは迫力が3割増しくらいになり、このラウドさとキャッチーさのバランスがとても心地よかった。「What I Want」のようなテンポを落とした曲でも、中だるみせずに聴かせどころになっていたのもまた、歌と演奏がしっかりしているからだろう。デビューから2年ちょっとくらいしか経っていないのに、若いだけあって相当な成長ぶりだ。どうしても、まずキワモノ的な部分に目を奪われがちだったが、今回リキッドルームくらいのサイズで、フジのようなスクリーンの大写しもなく、アロウの顔芸(?)が分かりにくいくらいの距離で見たことで、かえってバンド全体のポテンシャルを実感することができた。

STARCRAWLER

 この日のセットリストでは、本編の最後を「Bet My Brains」で締めくくった後、アンコールのオーラスでは、アロウがダイヴ!からの這いずって退場していく隙に、ヘンリーもフロアに突入して弾きまくり、オーディエンスの盛り上がりも最高潮に。その後ステージに戻ったヘンリーが、バンドのロゴをあしらった日の丸を誇らしげに掲げて見せ、圧巻のパフォーマンスはフィニッシュを迎えた。1曲1曲がコンパクトで、ダラダラしたMCも一切なくテキパキと気持ちよく進行していくため、実質的な時間はそれほど長いわけではないものの、極めて濃密な時間を過ごしたように感じられた。とにもかくにも、ライヴで見てこそ凄さがわかるバンドなので、ぜひ一刻も早く彼らを目撃する機会を持ってほしい。

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Text by 鈴木喜之

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