• 6/3 (Wed)
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    コンピシリーズ『Kitsune America』が、おなじみのアメリカのシーンでフレッシュで意欲的な姿を見せる。いつものように、この第4弾においても紛い物など一切なし、本物の楽曲だけが集められた。カニエ・ウェストの秘蔵っ子、Kacy Hill の近未来的 R&B から Heat による痛烈なインディー・グラムまで、このアルバムに収録された全てのトラックが、今までよりさらに感度高く、一同に勢揃いとなった。アーバン・ポップと他のソウルフルな要素のハイブリッドというラディカルな形にもオープンマインドなこのパリのレーベルは、いつもながらに情熱的で好奇心旺盛に、エキサイティングな道を進み続けている。それと忘れてはならないのが、いつもながらの、素晴らしく燃え上がるようなギターサウンドは、それもまた Kitsune らしく。そのスタイルはエッジーだけど綺麗目な感じ。さぁ『Kitsune America 4』にチューン・インして、全米を轟かす (すぐにでもそうなる) ような象徴的な楽曲の数々に耳を傾けてみよう。

    01. Kacy Hill – Experience : フェニックス経由LAからのニューカマー、Kacy Hill。直近ではカニエ・ウェストのG.O.O.D.レーベルとサインをしたばかりで、彼女のデビュー曲「Experience」に話題が集中するはず。この“21世紀のソウル”との遭遇にはホント鳥肌が立つばかり。

    02. Basecamp – Watch My Back : ナッシュビル、テネシー、ベースキャンプと、出身地からは想像できないくらい幅広く様々な音楽から影響を受けたこのプロデューサートリオが作り出す音楽は、しっとりとしたメロディで味付けされ、ちょっと一風変わった変則R&Bだが、聴く者をうっとりさせる。

    03. Dutch Party – Howl : LA生まれのKen Franklinは、グループのリードシンガーやギタリストとしての役割だけでなく、ボウイやM83を経由し、ベックからJay-Zまで、バンドサウンドの型を決めるようなインスピレーションやスタイルを裏でスムーズにブレンドしていくプロデューサーの役割も担っている。時の流れと関係なく、そして心優しくやりすぎることもなく、このグループは成功するであろう。

    04. Beau – C’mon Please : Heather Golden (ボーカル) と Emma Rose (コーラス、ギター) からなる生粋のニューヨーカーである二人は、音楽を通して人生のサウンドトラックを作ろうとしている。彼女たちはグリニッジ・ヴィレッジのアートな隣人たちとともにポジティヴなヴァイブスいっぱいの中、オーカニックなサウンドと古き良きアメリカの穏やかさを思い起こさせるような歌詞で、現代的な新感覚を作り出している。

    05. Heat – This Life : アヴァンギャルドながら70年代のパンクなニューヨークと90年代のUKシューゲイズの特徴を合わせたかのよう、Heatのサウンドには、その詩的自由さ、むせび泣くようなギターと生々しくロマンティックなボーカルの一方で、痛烈なエッジが隠されている。このモントリオールの4ピースバンドは、Kitsune からニューEPをリリースする予定で、早くも圧倒的な熱量を放ち始めている!

    06. Grace Mitchell – Broken Over You : オレゴン育ちの16歳のシンガーソングライター、Grace Mitchellは自身の多弁な曲調や激しい歌詞を支えてくれるビート・オリエンテッドな音楽を作るのに現在夢中である。The Shinsの近しいメンバーと作ったデモ作は、彼女の強烈でソウルフルな声それに年齢からは考えられない熱いバラッドで、瞬く間に周囲の注目を浴びることとなった。

    07. Joyce Wrice – Home Alone : LAをベースに活動するJoyce Wriceもまた、エレクトロニックのコンテキストの中で未来のソウルを描くシンガーソングライターである。甘く危険で物憂げな`Home Alone’は、スローでちょっとエキセントリックなR&Bラヴソング。彼女のデビュー・ソロ・プロジェクトからも目が離せない。

    08. Metoux – Neighbour : ミステリアスで生まれ持った上品さを持つ、新人Metouxの「女の子のためのヒップ・ホップ」は今も的を得ていて、まさに女の子の気まぐれな日常を描いている。

    09. Milk & Bone – Coconut Water : ケベック出身、人気セッション・ミュージシャンのLaurence-Lafond BeaulneとCamille Poliquinからなるエレクトロ・ポップ・デュオMilk & Boneは、彼らの野太いハーモニーによって作られていく、一風変わった作曲法を編み出した。デビュー・アルバムも現在制作中。

    10. Mothxr – Centerfold : ヴォーカリストで俳優のPenn BadgleyとプロデューサーのJimmy Giannopoulosを中心に、4人のメンバーでNYのブルックリンで結成されたMothxrは、自己を投影した奇妙なPOP美学の世界を開拓している。空っぽのベッドルームが突然強固な作りの大聖堂に変わってしまうような・・・。

    11. Ricoshei – Darling (feat. Fiona Sally Miller) : LAを拠点とする Nikko Gibler と Jake Patrick は、DJ Koze のレーベルではビックネームで、現在までにコーチェラでプレイし、世界へその活動の幅を広げようとしている。そのローファイな煌めきの中で、ロスタルジックで魅惑的な「Darling」はFiona Sally Millerの心地よいヴォーカルだけでなく、日本語で言うところの「kawaii」的な感覚で注目を集めている。

    12. SteLouse – Stroll : デンヴァーのプロデューサー、Ross Ryanちょっと前までは“ロック”な出で立ちで活動をしていたかもしれない。彼はすでに“未来を約束されたベースプレイヤー”として知られており、彼は自身の音楽を、歌の世界においては心と魂を一つの美しいメロディに包み込んで反映させたものだと語っている。朝の景気付けが欲しいようだったら、「Stroll」を是非!

    13. Toro Y Moi – Empty Nesters : Chaz Bundickは変わらずToro Y Moiとして新しい方向性を目指し続けているが、そのことによって自身のメロディ・センスやアレンジ、雰囲気などに関する鋭い感覚が影響をうけることなど一切ない。彼曰く「僕は現在持っているものに対して、さらに磨きをかけていきたいんだ。」彼をこのKitsuneコンピで再収録できて嬉しい限り。

    14. Twin Peaks – Telephone : もともとの繋がりはなんと小学校以来、この20歳のやんちゃな青年たちは明るくメロディアスなギターを駆使し、決して一発屋になることなどないであろう。過去にも大成功した”ギターと3人のシンガーソングライターが在籍したグループ”などを参考にしつつ、Twin Peaksは新しくも親しみ易いサウンドを生み出そうと努力を続けている。

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