interview :
川本真琴 × 中村宗一郎 (エンジニア) 対談

■『音楽の世界へようこそ』(2010年)について

―まとめに入っているわけじゃないんですけど、ずいぶん前、2007年にぼくが川本さんから預かったデモっていうのがあって。まだこれ(『音楽の世界へようこそ』)には入れない曲とかがあったと思うんですね。それを中村さんに、川本さんには黙って渡してるんですよ。

N:……、思い出した。

―この最初のデモっていうのが、とにかくその感触が大好きで、わかりやすく言うとアシッドフォークですね。今、川本さんが最高なんじゃないかって思ったきっかけがそのデモでした。で、これは今やらなきゃいけないって思ったから真っ先に中村さんのとこに持ってった。「何とかならないですかねー」みたいな相談をしましたよね?

N:はい、それで思い出しました。そのデモね、バツグンに良かったんですよ。

K:あー、そうなんですか!

N:めっちゃくちゃ良くて。でもほら、(川本さんのこと)初めてでよく知らないし、どんな人かもわかんないし。でもデモ聴かせてもらったらすっごい面白かったんで、おーっ!と思って話を進めてもらって。でも結果的にはこのアルバムには関わらなかったんですね。―あ、もう一段階あるんですよ。デモからちょっと進んだところでマネージャーさんと2人で相談しに行ってるんですよ。その時にちょっと2人の考えが合わなかったんです。

N:ざっくり言うと、自由に出来なかったんです。

K:わたしいなかったですよね?

N:あ、そうですね。まだ会ってなかったんですよ。

K:このころずっと具合悪くてマネージャーに任せてたんですよ。

N:あとで、当然、出来上がったCD聴いたんですけど、やっとけばよかったなーってちょっと後悔はしたんですけど、っていうのはありましたね。

K:なるほどねー。知らなかったです。

―この時点(2010年)では、一般的な感触では中村さんが関わらなかった方が正解だったと思います。

N:そうです。これでいいんですよ。

K:うーん…、まあでも聴いてみたいですけどね、その何ていうか、中村さんに要らない音を抜いてもらったやつっていうのもね。

―だから、抜いた感触っていうのはわりとここに出てるわけです、『幽霊』に。

N:まあ、これは抜きすぎっていうか、入ってないから(笑)。

K:最初から入ってないっていうのもありますけど(笑)。

N:いや、あのほら、もっと上手くやるのにー、みたいなそんなのはないけど、ああーちょっとこうやりたいなあっていうのはありましたね。素材も全部もらってたんで。

K:わたしね、これに関しては、なんにも……

―覚えてないですか?

K:いや、覚えてないっていうんじゃなくて……。

―長かったんですよね。

N:10年分くらいの音がね。

K:出来上がってきた時にどうすればよかった、みたいなものが何もなかったんですよね。音楽の観点でものを見れてなかった、っていうか(笑)。ちょっと、具合悪かったんですよね、きっとね。だから、それはそれでいま聴いてみたいっていう感じもしますねえ。

N:だから次にまた話が来ないかなーと思ったら、いろいろまた言ってきてくださったんで、ああよかったなと思ったんですけど。