interview :
京都のアーティスト TOYOMU、一夏をかけて 地元京都で制作されたデビューEP『ZEKKEI』インタビュー 2016.11.17

あの妄想作品『印象III : なんとなく、パブロ (Imagining "The Life of Pablo")』で世界をあっと言わせた TOYOMU が、遂にデビュー作を 11/23 にリリースする。5曲のオリジナル曲から構成されたEP『ZEKKEI』は、サンプリングとシンセサイザーのあくなき融合をかかげ、サンプリング・ネタは自ら作ったサウンドと自然音に限定、地元京都にてひと夏をかけて完成された ... indienative では本作『ZEKKEI』の制作背景など、TOYOMU のホーム京都での活動についてメール・インタビューを行いました。

TOYOMU

Q. 逆輸入的脚光を浴びての日本デビューとなりますが、そのことについてどうでしょう?

ありがたい限りです。一人でも多くの日本国内の方々が僕のことを知っていただければ嬉しいと思います。

Q. 本作『ZEKKEI』は、"京都でひと夏をかけて制作された” とありますが、京都の夏といえば盆地で暑いとされていますが、振り返ってどうでしょう? また拠点を置く京都からの影響はありますか? (それは文化、自然などどのようなものでしょうか?)

「今年も」暑かったです、涼しくなるのが早かったような気もしますが...(もう嫌がらせのような寒い冬が来そうなので夏のことは忘れました) あと、大文字の送り火の当日、ドが付く程の土砂降りだったのが記憶にあります。

影響は多少なりともあるとは思います。買い物に出かけるときでさえ、あの大きい鴨川を横目にするので、遠くの方を見る機会が多くて開放感があって良いなとは思います。よく自然と文化が混じり合っていると言われますが、街の構造は人間による作為的なものになっているな〜とは最近思います。そういうバランス感は影響を受けていると思います。塩梅、というか。

Q. 主催しているレーベル/イベント “Quantizer” について教えてください。今後の展開/展望などもありましたら教えてください。

2014年から開始しました。当初はイベントだけでしたが、だんだん bandcamp や soundcloud などで音源を展開してきました。ヒップホップ経由のビートメイカーが中心となって今まで開催してきましたが、来年からはもう少し幅をひろげて「エレクトロニックミュージック」くらいのくくりでやっていきたいなとは思っております。イベント自体は隔月だったり不定期だったりの開催ですが、またやって行くと思うのでぜひ遊びに来ていただきたいです。それと、いつでもデモテープを待っています。

Q. 京都を拠点に活動していて (自身のレーベル Quantizer を運営していてなど) 何か面白い地元のシーンなど、見えてきたこと感じる点はありますか?

引き続き Quantizer の話です。あまり今までに 「デモ作りました!」みたいな話を聞かなかったので、もっとそういうアクティビティがあってほしいなとは思います。京都に限った話ではないと思いますが、家でだけ音楽を作ってる方が意外と多いような気がするので、そういう人たちにとっても Quantizer がプラットフォーム的な役割のコミュニティになればいいなと思っております。なのでホントに気軽に来てください。みんなで音楽についてあーでもないこーでもないという話ってなかなかインターネット以外でする場所ないと思うので。Quantizer の現在の目標はそういうコミュニティ化です。

Q. 本作『ZEKKEI』を何度も聞いていると、水の流れのようなものを感じました。京都の地下には、脈々と流れる地下水がありますが、そういった自然的なものからインスピレーションを受けていますか?


Director: Kiyoshi Matsumae & タハラペレイラ ラファエル

京都からの影響、の項でもメンションしましたが、今作に関しては「自然」というのは知らず知らずのうちに着想源にはなっていると思います。でも、実際に今回の作品を作るためにその場所へ行ったかというとそうではなくて、今まで行ったことのある京都の場所の心象風景や子供の時の思い出を思い出したり、ということの方が多かったです。おっしゃられているように「水の流れ」という視覚的なイメージは確かにありました。ただ、そういったインスピレーションや風景は完成した曲を聞いて、解釈したものなので、後から考えてます。テーマありきではありませんでした。

Q. "サンプリングは自ら作ったサウンドと自然音に限定” しているとのことですが、『ZEKKEI』収録曲「Social Grooming Service」で行われたフィールド・レコーディングについて教えてください。

この曲は、Quantizer にもほぼ毎回出演してくれている僕のイギリス人の友達(京都在住) Ally Mobbs がやっている Beat Picnic という企画の一環として制作しました。Beat Picnic は簡単に言うと、毎回何人かでどこか特定の場所にフィールドレコーディングしに行って、録音した素材だけを使い曲を作るという企画です。なので、シンセ等他の音は一切使っていません。Ableton で素材を加工していたら様々な楽器のような音ができたので、比較的うまくいったと思います。この曲だけは去年の初めにできていたので、自分のレコード等からのサンプリング中心の作風からさらに進化させてくれるいいきっかけの一つだったと思います。

Q. 本作『ZEKKEI』は各トラックが一つになることでアーキテクチャを構成し、"ZEKKEI = 絶景” が浮かび上がるようなイメージを持ちました。それについてはどうでしょうか?

僕もまさしくそう思ったので「絶景」と名付けました。曲を並べたとき、「これは自分の思い出の中の風景を投影している」と思う節があったので。ただ、「実際の京都の街はこうです」という説明ではありません、もし他の場所に生まれて住んでいればそれを反映していたでしょうし。でも、さっきも言ったように京都の「自然とか文化とかがすごい妙なバランスで成り立っている」という要素は、アーキテクチャの構成を思いつくのに一役買っています。京都に対しては、外国人が感じるようなエキゾチックなファンタジーを持っているかな〜とも思います。

Q. eel-king の野田さんのレビューで、”TOYOMU の楽曲からは、いうなればレイ・ハラカミ的な叙情 ..." という一文があり、本作を聴いていて納得したのですが、国内外で影響を受けたアーティストはいますか?

TOYOMU B side

もともとヒップホップが好きで音楽を始めたので、自分が聞く音楽もそれに付随するモノが多いです。特に西海岸、LAのヒップホップや Low End Theory のような音楽は好きです。去年末くらいまではほぼそういうのだけに傾倒していましたが、YMO 関連の人々を初めてちゃんと聞いたのがきっかけで「ビートメイク」だけではなく「音楽を作る」ということに目覚めました。それまでは昔の音楽をどうしても「サンプリングソースか否か」ととらえることが多かったので、音楽の聞き方自体も変わったと思います。おそらく今回のそういう叙情的な部分はその目覚めがわりと影響を及ぼしているのではないかなと思います。

Q. 今後の活動やお知らせがありましたら教えてください。

現在1stアルバムを製作中です。ライブもしていきますし、さきほどもとりあげた Quantizer も開催すると思いますので、ぜひ今後もチェックお願いします。他にも、「なんとなく、パブロ」的なおもしろ企画作品はその都度発表しよう思ってますのでお楽しみに!

ー このインタビューの後早速、『印象VII : 幻の気配』と名付けられた宇多田ヒカルの新作全曲リミックスを自身の bandcamp にアップしている -

TOYOMU オフィシャルサイト
Bandcamp
Twitter
Quantizer

TOYOMU | ZEKKEI

tracklist:
1. Atrium Jōbō / 2. Incline / 3. Mound Meidou / 4. The Palace / 5. Social Grooming Service

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